八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

長野原町に国交省職員派遣

 上毛新聞社会面に掲載されていた記事をお伝えします。
 八ッ場ダムは事業の工期を迎える今月末に完成し、4月から運用を開始することになっています。ダム貯水池周辺ではまだ多くの関連工事が行われていますが、国土交通省みずからが残工事があることを公表していないせいか、残工事について報道されているのは群馬県が関わっている生活再建事業の工事のみです。

 ダム事業の工事は地元住民の生活の場で長年実施されてきており、騒音、振動など住民の生活を脅かすこともあるため、住民はその都度、国土交通省八ッ場ダム工事事務所に要望や苦情を訴えてきました。ダム完成に伴い、八ッ場ダム工事事務所は廃止されることになっており、残工事やダム貯水池に何か支障があった場合、国交省がこれまでのように対応してくれるのか、住民は不安を抱いています。
写真右=代替地へ移転した川原湯温泉の共同湯の周辺でも、町道などの工事が続いている。

 国土交通省は周辺住民に対して、ダム完成後に何か問題がある場合は、ダム管理棟に常駐する担当職員が対応すると説明しているようですが、一方で長野原町に国交省の職員が派遣されることになるとのことです。
 長野原町は”ダム湖観光”を目玉とする地域振興を目指してきており、東京オリンピックの聖火リレーも予定されていますが、ダムの完成時期がコロナウイルスの感染拡大という最悪のタイミングに重なってしまい、八ッ場ダムの展望台などの観光施設も閉鎖されています。

◆2020年3月13日 上毛新聞
ー長野原町に国交省職員 八ッ場完成で新年度派遣ー

 建設中の八ッ場ダム(長野原町)が31日に完成し、国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所が廃止されるのに伴い、ダムをめぐる観光施策の充実を図るため、国に対し職員の派遣を要望していた。

 町が、非公開で行われた町議会八ッ場ダム対策会議で説明した。関係者によると、派遣される職員について町は課長級での処遇を予定している。
 町は県職員2人の派遣を受けているが、国からの職員は初めて。同局は「町からの依頼があり、1人を4月1日付で派遣する」と説明する。具体的な配属先や期間については明らかにしていない。

—転載終わり—

写真=川原湯神社の脇で延々と続いている法面対策工事。JR川原湯温泉駅の山側にある。2020年3月9日。

写真=ダム建設中、国交省が無料で開催して人気のあった八ッ場ツアーで説明会に使用した建物は解体されて更地となり、「なるほど!やんば資料館」のプレハブだけが残されている。国土交通省と本体工事業者が運営してきた資料館は、コロナウイルス感染拡大のため閉鎖中だが、3月で運営を終了する。