黒部川の連携排砂 宇奈月ダムを先行操作 試験的に導入(中日新聞)

 富山湾に流れ込む黒部川といえば、上流の黒部ダム(関西電力、1963年)が有名ですが、黒部川の下流部には出し平ダム(関西電力)と宇奈月ダム(国土交通省)があります。
 黒部川は急流であるだけでなく、上流で浸食が進んでいることから、日本でも有数の土砂流出量の多い河川です。ダムに土砂が溜まると、ダムの寿命を縮め、砂浜を消失させるという深刻な問題が生じます。出し平ダムと宇奈月ダムは、放っておくと短期間で土砂が大量にたまってしまいます。そこで、出し平ダムはわが国で初めてダム堤の一番下に排砂ゲートを設けました。そして、完成後6年目の1991年、出し平ダムは初めて排砂を行ったのですが、堆積土砂はダムに流入した有機物が腐敗したヘドロも含むため、ダムから流れる土砂はどぶ臭を放ち、黒部川と富山湾の環境に致命的なダメージを与えました。
 このため、2002年には富山湾の漁民らが関西電力に損害賠償を求めて提訴する事態となりました。裁判は2011年に和解が成立しましたが、これをきっかけに排砂による悪影響を緩和する方法が検討されるようになりました。

 出し平ダムの下流に2001年に排砂ゲートを備えた宇奈月ダムが建設されると、二つのダムは排砂の影響が最も少ないとされる増水時に、連携排砂を行うようになりました。富山湾はいまだに復元しておらず、連携排砂の方法は毎年、試行錯誤が繰り返されています。
 以下の記事によれば、今年は宇奈月ダムを試験的に先行操作するとのことです。

◆2020年5月4日 中日新聞
https://www.chunichi.co.jp/article/toyama/20200504/CK2020050402000157.html
ー黒部川の連携排砂 宇奈月を先行操作 試験的に導入方針ー

 国土交通省北陸地方整備局と関西電力は、黒部川のダムの堆積土砂を海へ流す「連携排砂」で、下流の宇奈月ダムのゲートを上流の出し平ダムより先に開ける「先行操作」を試験的に導入する方針を発表した。宇奈月ダムの水位が低い時間が延び、河口までの土砂の流れがより自然な形に近くなるという。

 これまでは宇奈月、出し平の両ダムのゲート開放を同時に行っていた。先行操作では宇奈月ダムのゲートを開け、水位を通常の半分まで低下させた後、出し平ダムのゲートを開ける。計算上、宇奈月ダムの堆積土砂の減少や、水を濁らせる物質のピーク時の濃度抑制が期待できるという。

 このほか、本年度の出し平ダムの排砂目標量を十八万立方メートルとする計画案も示した。昨年度の実績は二十九万立方メートル。宇奈月ダムの目標量は設定していない。

 連携排砂は六~八月の間、河川からダムへの水の流入量が規定値を超えた場合に行う。(山本真士)

—転載終わり—

〈参考ページ〉
国土交通省北陸地方整備局黒部川河川事務所ホームページ 「黒部川におけるダムの排砂について」
http://www.hrr.mlit.go.jp/kurobe/haisa/haisa.html