千曲川の決壊現場、堤防強化工法による復旧工事完了

 昨年の台風19号では千曲川が決壊し、大水害となりました。決壊箇所500メートル区間では、耐越水堤防工法による(堤防を川側と住宅地側、両方の法面をコンクリートブロックで覆う)工事がほぼ完了したことが報道されています。これを端緒にして、全国の河川で洪水に強い「耐越水堤防工法」が導入されていくことを期待したいと思います。

 昨年12月4日、国土交通省は千曲川堤防調査委員会を開き、復旧工事で採用する予定の工法について説明しました。この時、提示されたのは耐越水堤防工法ではありませんでしたが、その後、被災した流域住民らから強い要望があり、耐越水堤防工法を採用することになりました。
★参照⇒「千曲川堤防 越水対策強化 有識者委 復旧方針を了承」

 建設省は1975年から研究開発した耐越水堤防工法を全国に普及させるため、2000年に「河川堤防設計指針(第3稿)」を発行し関係機関に通知しました。ところが、熊本県が開催した川辺川ダム住民討論集会でこの工法が注目されると、ダム推進に不利とみて2002年にこの工法をお蔵入りにしてしまいました。

耐越水堤防工法の実施例(国交省検討会資料20200214)のサムネイル 台風19号による洪水では、国管理河川の12箇所、県管理河川の128箇所で堤防決壊が発生しました。大水害によって、洪水に強いこの工法が日の目を見ることになったようです。
★参照⇒「国交省による、台風19号の被災を踏まえた河川堤防に関する技術検討会の資料」

 耐越水堤防工法は右の資料の通り、全国で9河川の実施例があります。いずれも2000年以前に着工のものです。
 

◆2020年5月13日 信濃毎日新聞
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200513/KT200513FSI090003000.php
ー堤防強化 復興へまた一歩 長野市穂保 住民ら復旧現場見学ー

 台風19号による千曲川の堤防決壊から7カ月となった13日、梅雨を前に復旧工事がほぼ完了した長野市穂保の現場で、国土交通省千曲川河川事務所が地元住民を対象にした説明会を始めた。決壊箇所の前後140メートルの区間について、越水に耐えられるよう堤防の両側をコンクリートブロックで覆った様子を確かめた。

 説明会は、同市長沼地区の4区(大町、穂保、津野、赤沼区)の住民を対象に15日まで実施。初日の午前中は赤沼区の住民約60人が説明を聞いた。堤防の上に立った住民からは「他の区間の強化対策も早急に進めて」などと求める声が上がった。

◆2020年5月13日 SBC信越放送

https://news.yahoo.co.jp/articles/234145ddc3a410807e483c6ebcc9e85aa86f8b8f
ー千曲川の堤防決壊から7か月・復旧状況について住民に説明ー

 台風19号で長野市の千曲川の堤防が決壊してから7か月となり、地元では堤防の復旧状況について、住民を対象にした説明会が開かれています。
きょうは新型コロナウイルス対策で密集を避けながら地区の住民が千曲川河川事務所から工事の状況などの説明を受けました。
復旧状況について住民への説明は今回が初めてで、地元の復興対策企画委員会が開きました。
説明会では、決壊場所付近は堤防の両側をコンクリートで覆う工事がほぼ完成し、前後のおよそ500メートルについては今年度中に、完成を目指していることなどが伝えられました。
一方で、その他の部分についても、住民からは早期の工事を求める意見が出されました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/acc6f3025a5e008dc4b7a2f6a99013a11ea310d9
ー“決壊現場”復旧完了へ 住民「さらに強化を」 千曲川の堤防決壊から7ヵ月ー

 千曲川の堤防決壊からきょう13日で7ヵ月。決壊現場の復旧工事はほぼ完了し、きょうから住民への説明会が始まりました。住民からはさらなる強化を求める声が上がっています。おととい、業務を再開した仮設庁舎の長沼支所。発生から7ヵ月の節目に黙とうが捧げられました。

長沼支所・海原真吾支所長:
「復旧・復興にまい進していくに尽きる。2度とこういう災害が起きないような長沼にしたい」

(記者リポート)
「台風の災害から7ヵ月。決壊した千曲川の堤防は、住宅地側もコンクリートで補強され復旧工事がほぼ完了しました」

 去年10月13日の未明に決壊した堤防。復旧工事は急ピッチで進められ、決壊したおよそ70メートルを含む140メートルの区間は今月中にも完了する見込みとなり、きょうから住民説明会が始まりました。

千曲川河川事務所・吉田俊康副所長:
「『決壊しにくい堤防』を目指して進めている。コンクリートブロックで表面を被覆して、決壊するまでの時間が延ばせるというか、決壊しにくくなる」

 川側の地下に「矢板」が入れられた他、越水しても崩れないよう両側はコンクリートで覆われています。国は今年度中には、およそ560メートルを同じ工法で補強する予定です。しかし、その下流に暮らす住民からは…。

赤沼の住民:
「まだ崩れたところが下流にいっぱいありますので、早急にやっていただきたい」
「リフォームが終わって住んでるんですけど、不安です」

 国などは今回の補強する前後についても現地調査をし、対応を検討するとしています。

◆2020年5月11日 信濃毎日新聞
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200511/KT200423ATI090025000.php
ー決壊の千曲川堤防 「浸透破壊の可能性も」 国土問題研究会が報告書ー

 昨年10月の台風19号災害で約70メートルにわたって決壊した長野市穂保の千曲川堤防について、研究者らでつくる国土問題研究会(京都市)が川側の水が堤防に浸透して破壊につながった可能性もあるとの調査報告書をまとめた。大学教授らでつくる国土交通省の千曲川堤防調査委員会は、越水で住宅地(川裏)側から堤防が削られ、水圧に耐えきれなくなったのが主因―と推定している。

 同研究会の調査団は今年2月10〜12日に地元住民を交え、決壊箇所周辺の堤防を調査した。上流側堤防の住宅地側に盛り土された「桜づつみ」の約100メートルの間で、高さ数センチから10センチほどの土砂の盛り上がりが21カ所見つかったと報告。土砂が堤防内から噴き出たとみられる。

 ただ、土砂の跡は部分的であることなどから決壊現場での浸透破壊は断定できないとも指摘した。調査をまとめた同研究会の奥西一夫副理事長(京都大名誉教授)は「破堤(決壊)した部分では水を通しやすい砂礫(されき)層も確認している。堤防の強度に問題がなかったかも調べる必要がある」としている。

 報告書では、上流からの土砂が大量に堆積しているため、河川の流量が十分に確保できていないとも指摘。上流の山間部で森林を整備し、河川に流れ込む土砂を抑えることなどが重要としている。

◆2020年5月9日 信濃毎日新聞
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200509/KT200508ATI090020000.php
ー決壊堤防の道路を県道に 長野~小布施の5キロ 迅速避難へ拡幅方針ー

 県長野建設事務所は8日、昨年10月の台風19号災害で破堤した長野市穂保の千曲川堤防の道路を県道として拡幅整備することを検討していると明らかにした。地元住民が災害時の迅速な避難経路や渋滞対策として要望していた。同建設事務所は今後、国や同市、上高井郡小布施町などと協議し、詳細を詰める。

 国土交通省千曲川河川事務所が同日、堤防の復旧工事現場で、長沼地区の住民代表でつくる同地区復興対策企画委員会向けの説明会を開催。この場で、県道としての拡幅整備方針が示された。

 同建設事務所によると、県道としての整備を検討しているのは千曲川左岸の堤防道路で、長野市の村山橋から小布施町の小布施橋までの約5キロ区間=地図。現在は1車線で市道と国の河川管理道路となっているが、2車線に広げるという。

 現在、長沼地区の住宅地には県道村山豊野停車場線が通っているが、通勤時間帯の混雑などが課題。同地区復興対策企画委の柳見沢(やなみさわ)宏委員長は取材に「県道として整備されれば堤防が今より高くなり、堤防強化にもつながる。災害時には住民の避難がより早くなる」と期待した。

 一方、千曲川河川事務所は同日、破堤箇所の前後140メートル区間で堤防の両側をコンクリートブロックで覆う工事がほぼ完了したと説明。同区間を含めた前後560メートル区間は同様の工法で本年度中に工事を終えるとした。