八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

川原湯温泉 湯かけ祭り中止 コロナ対策難しく

 八ッ場ダムの水没地で自然湧出の源泉の恵みを寿いできた大寒の湯かけ祭りは、旅館等がダム湖畔の代替地に移転した後も共同湯・王湯会館の前の広場で受け継がれてきましたが、来年1月はコロナ禍の影響で中止されるとのことです。
 水没地では温泉街の坂道で、地元の湯かけの選手たちと観光客が文字通り密集しての祭りでした。広々とした代替地では、川原湯温泉のファンが毎年駆けつけると言っても密集というほどではありませんでしたが、最も寒い季節を実感させる年中行事であることから、毎年多くのテレビ局や新聞社が祭りを取り囲み、大寒夜明けの熱戦を報道していました。
 川原湯温泉にとっては、湯かけ祭りが正月のようなものですから、地元の住民にとっても来年は寂しい年明けとなります。

◆2020年10月11日 上毛新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/b1a62348d36defab242a27bb2a767d3357db4dff
ー長野原・川原湯温泉の奇祭「湯かけ祭り」中止に 毎年1月開催 コロナ対策難しく「苦渋の選択」ー

 群馬県長野原町の川原湯温泉で約400年前に始まり、毎年1月の大寒に開いている奇祭「湯かけ祭り」について、新型コロナウイルス感染症対策が難しいことから、住民が来年の中止を決めたことが10日、分かった。戦時中の混乱期以降で中止は初めてといい、住民は「苦渋の選択」と悔しさをにじませている。

◎「お祝いだ」と叫び湯かけ 「密」避けられず
 祭りは大寒の早朝、川原湯温泉共同浴場「王湯」前で開かれ、地区の男性が下帯姿で「お祝いだ」と叫びながら温泉の湯をかけ合い、源泉が湧き続けることを祈願する。

 観光客を含めて数百人が集まることに加え、コロナ禍では近距離で叫ぶ行為自体が感染対策上、難しいことから、地区の役員が集まる9日夜の評議委員会で中止を決めた。

 委員会代表で区長の水出耕一さん(66)は「全国的にも伝統行事の中止が相次いでいるが、感染防止対策ができない以上、開催は難しいと苦渋の選択をした」と説明している。

 川原湯温泉協会の樋田省三会長(56)は「密を避けられない行事なので仕方がない。今回はできないというのがムラ(地区)の総意」と残念そうに話した。

 約400年前に温泉が枯渇した際、ニワトリをささげて祈願したところ、再び湯が湧き出し、湯をかけ合って喜んだのが祭りの起源とされる。八ツ場ダム建設に伴い、王湯が代替地に移転してからも続いていた。