川辺川ダム予定地を抱える五木村の元村長へのインタビュー記事

 川辺川ダムの水没予定地がある五木村の元村長、和田拓也氏へのインタビュー記事が地元紙に掲載されていました。

 川辺川ダムを流水型ダム(穴あきダム)として復活させる動きがありますが、川辺川ダムはこれまでわが国で建設されてきた流水型ダムよりはるかに大きなダム計画です。流水型ダムは洪水の時だけ水を貯めるダムですから、流水型ダムとして川辺川ダムが建設されれば、和田氏が語っている「ダム湖観光」は不可能です。通常は土地利用ができない広大な空間が村の中心に延々と広がることになります。それはそれで地元にとって残酷な話ではないかと思います。

◆2020年10月27日 熊本日日新聞
ー治水方向性 早く結論を ダム、下流域の意思次第 元五木村長・和田拓也氏<再興 あなたに聞きたい>ー

わだ・たくや 1967年、五木村役場入庁。建設課長、企画振興課長、助役などを経て、2007年の村長選で初当選した。翌08年に蒲島郁夫知事が川辺川ダム建設計画の白紙撤回を表明。ダム計画に翻弄される村の再建に尽力した。3期12年務め、19年退任。同村在住。73歳。

 7月豪雨で氾濫した球磨川の治水対策として、再び注目を集める川辺川ダム建設計画。水没予定地を抱える五木村は静観の構えだ。2019年まで12年間、村長を務めた和田拓也氏は「村をこれ以上翻弄しないためにも早く結論を出してほしい」と訴える。(聞き手・臼杵大介)

-豪雨を受け、蒲島郁夫知事はダム建設を「選択肢の一つ」と発言しました。
 「知事の発言は当然だと思う。球磨川のような急峻な地形では流下能力が足りず、降った雨をどこかで一時的に貯留する機能が必要だ。問題はその方法。一番効果があるのがダムだ。造るならば、用地買収がほぼ終わっている川辺川ダムが現実的ということになる」

-ダムは必要という考えですか。
 「治水の安全度を高めるためにはダムは必要だ。ただ村が決めるのではなく、下流域がどう思うか、という話。水害に遭う恐れがある下流域が決める以外にない」

-蒲島知事がダム建設の白紙撤回を表明した後、五木村は「ダムなし」の村づくりを進めてきました。
 「ダムを造るなら、造る方向で村づくりをすればいいだけの話。ダム中止は政治家が発言しただけで、今も法律的には造ることになっている。中止に向けた行政的な手続きが全く進んでいないのは、ダムを造る意思が残っているということだ。どちらかはっきりしないと、また五木村は翻弄されてしまう。村民の本音は『とにかくはっきりしてくれ』ということだと思う」

-ダム建設は、村づくりにプラスになると思いますか。
 「ここまで村が疲弊すれば、造った方が良くなると思う。ダム事業が中止になって未完成のままだった道路の整備が進めば林業振興のほか、利便性や安全性も高まる。ダム湖の整備で観光地として誘客効果も出てくるのでは。ただ貯水型か、流水型かによって条件は変わってくる」

-村が進めていた水没予定地の利活用はどうなるのですか。
 「あくまでも暫定的な利活用で、施設を撤去しろと言われれば、撤去できるような造り方をしている。ダムができるなら、(これまで整備した)多目的広場や宿泊施設などは移転し、再建しないといけない。その用地は、国が責任を持って手当てすることになるはずだ。恒久的な施設として造れるので、観光面にもプラスになる」

-治水対策を検討するため、蒲島知事は住民の意見を聴く会を始めました。
 「まずダムを造る、造らないを下流域に決めてもらわないと、村は何とも言いようがない。早く一定の方向性を決めてもらい、村と協議してほしい。住民運動などが起こり、結論が先延ばしになるのが村にとっては一番困る」
 「人吉市街地が元に戻らないと、人吉球磨の経済は回らない。人吉の復興はダムが建設されるか否かが大きな要素になる。人吉がにぎわいを取り戻すためにも、早急に治水の方向性を定めてほしい」