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球磨川治水、上流の河床掘削要望 上球磨3町村、市房ダムに評価と不安

 7月の熊本豪雨で氾濫した球磨川の流域では、蒲島郁夫知事が球磨川の今後の治水対策について意見を聴く会が順次開催されています。10月30日には上流域の多良木町、湯前町、水上村で開かれたとのことで、その様子が報道されています。
 水上町には、熊本県営の市房ダムがあります。市房ダムは7月4日の洪水の最中、貯水容量の8割を超える見込みとなり、緊急放流を行うと発表されましたが、その後、雨が弱まり、緊急放流は回避されました。下流域で大水害となっていた時に、さらに市房ダムの緊急放流が行われれば、被害がどれだけ拡大したかわかりません。
 ダムは満水に近づけば、貯水機能を失って緊急放流を行いますので、ダムに依存しない、河床掘削などの治水対策を進めることが必要だと思います。
 
◆2020年10月31日 熊本日日新聞
ー球磨川治水、上流の河床掘削要望 上球磨3町村、市房ダムに評価と不安ー

 熊本県の蒲島郁夫知事は30日、7月豪雨で氾濫した球磨川の治水対策について、上流域の多良木町、湯前町、水上村の住民から意見を聴いた。参加者からは地元の河床掘削を求める声が相次ぎ、県営市房ダム(水上村)の治水効果には評価と不安の声が交錯した。
 上球磨地域で初の開催。多良木町の多目的研修センターに区長や消防団、PTA関係者ら38人が参加した。

 かつて水害常襲地帯だった多良木町牛島地区の林田忠区長(67)は、国の河床掘削などで「牛島地区は住宅浸水を免れた」と評価。「今回の豪雨で再び土砂が堆積した。掘削を継続してほしい」と要望した。
 県が7月豪雨で同町のピーク時の水位を約90センチ下げたと推定した市房ダムの効果については、「下流の被害は確実に低減され、非常に有効だった」「さらに効果を高められるよう、事前放流の操作方法を研究すべきだ」との意見が出た。

 ただ、市房ダムの緊急放流を不安視する声も。湯前小PTA会長の椎葉太さん(49)は「今回、流域で最もひどかった雨が市房ダムの上流域で降った場合の想定を知りたい。どの程度で緊急放流になり、どう被害が広がるのか分からないのは怖い」と口にした。
 3町村は球磨川と川辺川の合流点より上流にあり、大半の参加者は川辺川ダムの是非に言及しなかった。
 一方、再開時期が見通せないくま川鉄道への支援を求める意見も出た。水上中PTA会長の服部真二さん(63)は「上球磨では高校生の通学に欠かせない鉄道。被害が軽微な区間だけでも早期開通してほしい」と訴えた。
 終了後、蒲島知事は市房ダムについて「正しく分かりやすい情報を提供し、住民の恐怖感を招かないよう説明責任を果たす」と強調した。(坂本明彦、堀江利雅、中尾有希、吉田紳一)