八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場ダムの資料館 11/1オープン

 今年4月に完成した八ッ場ダムのダム堤の左岸側(長野原町川原畑地区)にはダムの資料館が設置されましたが、コロナ感染拡大防止のために開館が遅れ、今月ようやくオープンしました。

 国土交通省の八ッ場ダムの資料館「やんば館」は、かつては水没予定地の国道沿いにありました。八ッ場ダム中止を掲げた民主党政権時代も、「やんば館」では「八ッ場ダムの早期完成をめざします」と書かれた大きな看板が掲示されていました。その後、ダム事業の進行に伴い、資料館は川原湯温泉の代替地へ移転しました。
写真右=新しい資料館に掲示された八ッ場ダムの年表パネル。ダム計画策定の契機となった1947年のカスリーン台風から始まっている。

 代替地の「なるほど!やんば資料館」は湖面橋・八ッ場大橋のたもと(右岸側)にダム本体工事業者のプレハブ宿舎と並んで設置されていましたが、本体工事が終了するとプレハブ宿舎と共に解体されました。

 このたびオープンした資料館はダム管理棟と並んでいます。
 ダム堤の左岸側には付け替え国道が通っており、草津温泉や嬬恋村などの上信国境のリゾート地を訪れる多くの観光客が八ッ場ダムの見学に立ち寄っています。
写真右=出入り口の脇にダムカードの自動配布機が設置されている。

◆2020年10月30日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/250986
ー八ツ場ダムの資料館 11月1日開館 長野原ー

 国土交通省利根川ダム統合管理事務所は29日、群馬県長野原町の八ツ場ダム管理支所にある「なるほど!やんば資料館」を11月1日に開館すると明らかにした。開館はダムが運用開始となった4月に併せて計画していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で見合わせていた。
 資料館はダム建設の歴史や本体の概要に関する展示物が並ぶ。ダムカードも配布する。入館の際は手指の消毒やマスク着用、人との間隔を保つなど感染防止対策を求める。入場無料。午前10時~午後4時。

◆2020年11月2日 上毛新聞 (紙面記事より転載)
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/251589
ーダムの全貌ここに 歴史パネルやジオラマ展示 やんば資料館 待望の開館ー

 八ツ場ダム(群馬県長野原町)の解説施設「なるほど!やんば資料館」が1日、国土交通省八ツ場ダム管理支所内に開館した。ダム計画から完成までの経緯を示すパネルや、ダムの構造模型などを展示している。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、7カ月遅れてのオープンとなった。

 歴史のコーナーでは、ダム建設の年表や、ダムにより水没した地区を示すジオラマを設け、住民が建設を受け入れ、ダムが完成したことを伝えている。訪れた観光客は「完成までに、こんなに長い年月がかかったんだね」などとつぶやきながら資料に見入っていた。

 展示スペースは2階建てで延べ床面積約500平方メートル。2階にはダム本体を眺められる展望バルコニーがある。ダムの仕組みや効果の紹介では、適温の水を下流に流す選択取水設備や常用洪水吐ゲートなどの模型を設置。昨年10月の台風19号で試験湛水中だったダムが洪水を防ぐ役割を担ったことを伝える下流河川の水位変化の写真も示している。

 開館はダムが運用開始となった4月の予定だったが、新型コロナの影響で見合わせていた。タッチパネルなど、展示の一部は感染予防のため使えない。
 入場無料 午前10時~午後4時。年末年始は休み。

—転載終わり—

写真下=二階建てのコンクリートの建物が「やんば資料館」が入っている八ッ場ダム管理棟。

写真下=昨年の台風19号の際の埼玉県久喜市栗橋地点における利根川の水位を示す展示。栗橋地点の最高水位は9.61メートルと通常の水位よりかなり高かったが、堤防の余裕高は2メートル以上あった。この展示では堤防の余裕高や八ッ場ダムの治水効果は示されていない。
 栗橋は利根川と渡良瀬川の合流点の直下にあり、栗橋の下流で利根川と江戸川が分岐するため、治水上重要な地点。国土交通省は栗橋地点より約50km上流の八斗島(やったじま、群馬県伊勢崎市)において、八ッ場ダムを含む利根川上流7ダムの水位低減効果を約1メートルとする試算結果を公表したが、栗橋地点の効果は未公表。
 水問題研究家の嶋津暉之さんの試算によれば、栗橋地点における八ッ場ダムの水位低減効果は約17cm。ダムの効果はダムから遠ざかるほど減衰するので、栗橋地点における7ダム合計の効果は、国交省の試算でも1メートルよりかなり小さくなるはずである。

写真下=資料館の二階バルコニーから見えるダム堤。

写真下=ダム堤の左岸側を走っている付け替え国道では、落石防止の防護柵を設置する工事のために一方通行となっており、吾妻渓谷内のトンネルから交通渋滞。