国が球磨川治水対策案提示 河道掘削は10年で 流水ダム完成は2029年度以降 

 国土交通省九州地方整備局、熊本県、球磨川流域市町村らによる第3回球磨川流域治水協議会が開かれました。
 この協議会の資料は、国交省八代河川国道事務所に掲載されています。
 http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/r0207_ryuikitisui_gouukensho/index

 川辺川ダムの完成は2029年度以降を見込み、段階的に安全度を高めるということで、川幅を広げたり川底を掘る河道掘削などのダム以外の治水対策を順次実施していくということです。
 治水対策の規模は上記の資料でははっきりしませんが、しかし、もっと早く、2008年の川辺川ダム中止宣言の後、実施されていれば、2020年7月豪雨による被害はかなり小さくなっていたように思われます。国と熊本県の12年間の無策が多くの方が亡くなる悲惨な水害が引き起こしたように思われてなりません。

◆2021年1月26日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/684949/
ー流水ダム完成は2029年度以降 段階的に安全度向上 国が球磨川治水案ー

 昨年7月の熊本豪雨で氾濫した球磨川流域の治水を巡り、国土交通省九州地方整備局は26日、熊本県や流域自治体との流域治水協議会で、最大支流の川辺川への流水型ダム建設を含む緊急治水対策プロジェクト案を示した。ダムの完成は2029年度以降を見込み、遊水地群の整備などで段階的に安全度を高める。

 流水型ダム建設に向け、九地整は21年度から調査を本格化。気候変動に対応した洪水調節能力を目指し、可動式ゲートの設置などダム構造を具体的に検討する。環境への負荷軽減も重視し、環境影響や堆積土砂などの調査を進める。

 プロジェクト案は、豪雨災害発生からおおむね5年間を「第1段階」とし、土砂の撤去や河道掘削、宅地かさ上げを進める。総貯留量600万トンの遊水地群整備や、延長600メートルにわたり川幅を最大50メートル広げて築堤する「引堤」の用地確保にも着手。県管理の支流では放水路整備や河道掘削を進める。29年度までの「第2段階」では河道掘削や遊水地群、引堤を完成させ、支流の放水路を拡充する。

 この日の協議会では、流水型ダムの完成や既存ダムの再開発完了の詳細な時期は「課題や不確定要素がある」として示さなかった。 (古川努)

◆2021年1月26日 NHK熊本放送局
https://www.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20210126/5000011265.html
ー治水事業完了で人吉市は浸水せずー

 26日、球磨川流域の治水対策を話し合う協議会が県庁で開かれ、国や県が今後実施する事業メニューの案を示し、「すべての事業が完了すれば、去年7月並みの豪雨でも、人吉市では浸水被害を防げる」とするシミュレーション結果を明らかにしました。

 協議会では、国や県が球磨川流域で今後5年から10年で実施する事業メニューの案を示しました。

 具体的には、中流から下流にかけて川底の土砂を300万立方メートル掘削するとともに、およそ600メートルにわたって、川幅を最大50メートル広げるほか、川沿いに合わせて600万トン分の水をためられる遊水池を整備することなどを盛り込んでいます。

 そのうえで国は、すでに示している流水型ダムの建設などと合わせ、すべての事業が完了すれば、去年7月並みの豪雨が降った場合、人吉市の市街地で、球磨川の水位をおよそ2メートル50センチ下げることができ、堤防からの越水を防げるとするシミュレーション結果を明らかにしました。

 一方、八代市の坂本地区では、堤防より水位を低くすることはできないとして、宅地のかさ上げなどが必要だとしています。

 蒲島知事は「すべての事業が完了できても、川の水位が堤防を越える地域もあるので、どう対応していくのか、さらに検討を進めないといけない」と話しています。

◆2021年1月27日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/news/id87056
ー球磨川治水、河道掘削は10年で 国交省と熊本県、流水型ダムを柱にー

 昨年7月の豪雨災害で氾濫した球磨川の治水対策に関し、国土交通省と熊本県は26日、今後5~10年程度で実施する「緊急治水対策プロジェクト」の概要を公表した。流域市町村から要望が多かった河道掘削で約300万トンの掘削量を示したほか、支流・川辺川への新たな流水型ダムをメニューの柱に含めた。

 本年度中には、中長期的な対策を含めた「流域治水プロジェクト」もまとめるが、治水効果の高い主なメニューは出そろった。

 ただ、流水型ダムについては「調査・検討ができていない」(国交省)として、具体的な完成時期を示さなかった。規模についても、「機能を最大化する洪水調節計画の検討を行う」との表記にとどめた。

 ほかに県営市房ダム(水上村)の再開発を盛り込み、放流口の増設や堤体のかさ上げなどの対策例を示したが、具体的な内容や完了時期は今後検討するとした。

 ダム以外のメニューでは、河道掘削や引堤、遊水地、輪中堤・宅地かさ上げを挙げ、2020年度から10年間で取り組むと明記。河道掘削は八代市の坂本地区や球磨村の一勝地地区、人吉市など5地区で実施。引堤は球磨村の渡地区で延長約600メートルで川幅を最大約50メートル広げる。

 輪中堤・宅地かさ上げは芦北町や球磨村など球磨川中流域の6地区で行う。遊水地は球磨村渡地区から水上村までの間で計画し、洪水調節容量として約600万トンを見込む。

 今後のスケジュールについては、29年度までの事業期間を2段階に分けて提示。河道掘削と輪中堤・宅地かさ上げは事業期間の前半に終える第1段階とし、引堤や遊水地、一部の河道掘削は後半に完了する第2段階と位置付けた。

 水位低減効果も推定。人吉市市街部では、第2段階完了時でも、昨年7月の豪雨時より水位は下がるものの、堤防を越水。流水型ダムと市房ダム再開発の完了時に、堤防を超えない水位まで下がるとした。

 プロジェクト概要は国や県、流域12市町村などでつくる流域治水協議会の第3回会合で示された。(内田裕之)

◆2021年1月27日 建設通信新聞
https://www.kensetsunews.com/archives/533580
ー球磨川流域協議会/緊急治水対策プロジェクト案提示/29年度までに集中整備ー

【引堤、宅地かさ上げ、遊水地】
 九州地方整備局と熊本県は26日、球磨川流域治水協議会の第3回会合を開き、再度災害防止の観点から5年から10年程度で実施する球磨川水系緊急治水対策プロジェクト案を示した。河道掘削や堤防、遊水地整備などを集中的に実施し、2020年7月豪雨と同規模の洪水に対して浸水被害を軽減する。

 国管理区間では、河川区域の対策として29年度までに河道掘削や引堤、輪中堤・宅地かさ上げ、遊水地整備を進める。21年度から本格的な調査に着手する流水型ダムと市房ダム再開発は、調査結果を踏まえ事業期間を決める。

 河道掘削は、遙拝堰付近~川辺川合流点付近を対象に、掘削量約300万m3を見込む。引堤は渡地区付近で、長さ約600m、最大幅50m程度を想定している。

 輪中堤・宅地かさ上げは、遙拝堰付近~一勝地付近の6地区で計画。治水対策後の水位(計画高水位+余裕高さ相当)を目標とする。遊水地は、計画容量約600万m3を見込み、渡地区付近~市房ダム付近で、洪水調節効果などを総合的に評価し、効率的・効果的な個所に整備する。

 流水型ダムは、機能を最大化する洪水調節計画を検討する。ダム計画変更に伴い必要となる追加の地質調査、環境調査、環境保全措置検討を行う。放流設備(流木閉塞対策、土砂堆積対策)の諸元や構造を検討する。市房ダム再開発は、最大放流量を毎秒400m3とする案を基本とする。段階的に整備し、ステップ1として放流孔の増設、ステップ2で洪水調節操作ルールの変更などを進める。
 県管理区間でも、29年度までに河道掘削や放水路(御溝川)、堤防整備、河川改修、遊水地などを整備する。一方、堤防決壊個所の本復旧は、21年度出水期までの完成を目標とし、堆積土砂の撤去は21年度出水期までに可能な限り撤去する。

 集水域では、水田やため池の活用、下水道の排水施設や雨水貯留施設の整備など、氾濫域ではまちづくりと連携した高台への居住誘導、土地利用規制・誘導・移転促進などの対策を盛り込んだ。