川辺川に新たに計画される流水型ダムの環境アセスについて

 国土交通省が川辺川ダム事業について環境影響評価(アセスメント)法に準じた調査を行う方針を固めたと報道されています。
 新聞社の速報を読むと、清流・川辺川の河川環境を守る適切な環境影響調査が実施されるように受け取れますが、実際は逆です。
 「環境影響評価法に準じた調査」と、「環境影響評価法に基づく手続き」は根本から違います。前者は単なる調査であるのに対して、後者は手続きが複雑で、国民の意見を聞く機会があり、アセスの結果によっては(可能性が高いとは言えませんが)事業がストップされることもありえます。

 この件に関して、水源開発問題全国連絡会共同代表の嶋津暉之さんのメッセージをお伝えします。
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 川辺川ダム事業は従前の計画が特定多目的ダム法による多目的ダムであったのに対して、現在検討中の川辺川ダムは河川法による治水専用ダムであり、法的な根拠が違うダムになるのですから、環境影響評価法の対象になるはずです。
 この点を環境省の環境影響評価課の担当官に電話したところ、国土交通省に聞いてくれと、回答を拒否されました。 そこで、国土交通省河川環境課の担当の課長補佐に電話したところ、流水型ダムになっても、川辺川ダムの治水目的は従前の計画からあったもので、川辺川ダムは環境アセス法施行前から事業に着手しているから、環境アセス法の対象にならないという回答を環境省から得たという話でした。
 しかし、従前の川辺川ダム計画と、検討中の川辺川ダム計画は根本から変わり、法的根拠も特定多目的ダム法から河川法に変わるのですから、環境アセス法の対象になるべきものです。環境省の弱腰に怒りを覚えました。
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 関連記事を転載します。

◆2021年5月21日 西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/742037/
ー川辺川流水型ダム、環境影響調査実施へ 国交相きょうにも表明ー

 熊本県の川辺川への流水型ダム整備に向け、国土交通省が環境影響評価(アセスメント)法に準じた調査を行う方針を固めたことが分かった。調査は数年がかりとなり、ダムの完成時期にも影響する見通し。赤羽一嘉国交相が21日にも表明する。

 国交省関係者によると、川辺川を含む球磨川水系の治水工事は1999年のアセス法施行前から進められているため、新たなダム整備であっても同法の対象外となる。一方、熊本県の蒲島郁夫知事は時間がかかってもアセス法と同等の詳しい調査が必要としていたことから、国交省として要望に応じることにした。

 同省は球磨川水系河川整備基本方針の変更にも着手し、近く社会資本整備審議会に諮る。2020年7月豪雨の被害を受け、基本方針が定める河川の最大流量想定などを見直す。川辺川への流水型ダム整備は、この見直しを受けて策定される河川整備計画に位置付けられることになる。 (鶴加寿子、古川努)

◆2021年5月21日 熊本日日新聞

◆2021年5月21日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASP5P3T1VP5PUTIL00D.html
ー熊本・川辺川ダム 環境影響調査を実施へ 国交相が表明ー

  熊本県の球磨川支流の川辺川で整備が検討されている流水型ダムについて、国土交通省は21日、環境影響評価(アセスメント)を実施すると発表した。ただ、ダムの関連工事は1999年の環境影響評価法の施行前から続いているため、新たな整備も同法の対象にしない方針。

 赤羽一嘉・国交相が21日に表明した。新たな流水型ダムを巡っては、熊本県の蒲島郁夫知事が同法と同等の調査を求めていた。国交省がこれに応じた形で、今後調査した上で県知事や流域の市町村長などから意見を聴き、環境保全措置などが実施される。

 赤羽氏は法律に基づかないアセスの実施について問われ、「そもそもやらなくてもいいところだが、地元の要請があったのでやらせて頂く。同じだけのものをやろうと思っているので、(法律に)こだわるのはあまり意味がないと思う」と述べた。

 国交省はあわせて、球磨川水系の河川整備基本方針の変更にも着手し、近く社会資本整備審議会で審議する。昨年7月の豪雨被害を受け、基本方針が定める球磨川の想定最大流量などを見直す。流水型ダムの整備は、この見直しを受けて策定される河川整備計画に位置付けられる。(山本孝興)