2018年7月の西日本豪雨では、岡山県倉敷市真備町を流れる小田川と3支流が決壊し、甚大な浸水被害が発生しました。犠牲者の遺族や被災者が10月25日、国などに損害賠償を求める集団訴訟を岡山地裁に起こしたことが報道されています。
真備町では小田川と高梁川の合流点が水害の危険性が高いということで、半世紀前に付け替え工事が計画されましたが、その後、様々な理由により放置され、2018年の水害後、ようやく工事が始まりました。
昨年4月には別の住民らが国や中国電力などを相手に同様の訴訟を岡山地裁に起こしています。こちらは3次提訴まで行われており、原告は現在、46人になっているとのことです。
〈参考記事〉
➡「昨夏の西日本豪雨で決壊した、小田川の付替え工事着工式」(2019年6月18日)
➡「昨年7月の西日本豪雨の小田川氾濫の真因と責任」(2019年8月14日)
➡「西日本豪雨水害 倉敷市真備町の被災者が国などに損害賠償求め2次提訴」(2020年7月10日)
関連記事を転載します。
◆2021年6月25日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210625/k10013104281000.html
ー豪雨 岡山 倉敷市真備町住民ら215人 国などに賠償求め提訴ー
西日本豪雨の発生から来月で3年になるのを前に、岡山県倉敷市真備町の住民など200人余りが、川の堤防の決壊は治水対策を怠ったことなどが原因だとして、国などにおよそ6億4000万円の賠償を求める訴えを、25日、岡山地方裁判所に起こしました。
倉敷市真備町では3年前の西日本豪雨で、町を流れる小田川や支流の堤防の決壊によって、およそ5400棟の住宅が水につかって全半壊し、市内でおよそ4000人が一時、避難生活を送りました。
被災した住民など215人は、川の堤防が決壊したのは治水対策を怠ったことなどが原因だとして、国と岡山県、それに倉敷市に対し合わせておよそ6億4000万円の賠償を求める訴えを、25日、岡山地方裁判所に起こしました。
訴えによりますと、国が氾濫が起きた2つの川の合流地点で、およそ50年前に計画した護岸工事を実施しなかったことや、岡山県や倉敷市が川の堤防に設置されたゲートを封鎖しなかったことなどで、被害が広がったとしています。
訴えについて国などは「訴状が届いていないのでコメントは控えたい」としています。
3年前の豪雨の被害については、倉敷市真備町の別の住民など46人が、川の堤防が決壊したのは安全対策を怠ったことが原因だとして、国や中国電力などに賠償を求める訴えを起こし、裁判が続いています。
◆2021年6月25日 山陽新聞
https://www.sanyonews.jp/article/1145204
ー真備の遺族ら、国や県を集団提訴 「人災」損害賠償求め岡山地裁にー
2018年7月の西日本豪雨で、倉敷市真備町地区の小田川と3支流が決壊し、甚大な浸水被害を受けたのは河川やダムの管理が不十分だったためとして、犠牲者の遺族や被災者が25日、国などに損害賠償を求める集団訴訟を岡山地裁に起こした。被災者による集団訴訟は岡山県内では2例目で、原告に遺族が加わるのは初めて。
原告団の吉田勤代表(75)=同市=によると、原告は直接死した住民の遺族1人を含む84世帯215人で、被災者らでつくる「り災者の会」が母体。賠償請求額は総額約6億4千万円に上る。
訴状では、国は小田川と高梁川との合流地点を下流部に付け替える治水工事の計画を1971年に発表したのに、災害発生前に完了させることを怠ったと指摘。高梁川上流の新成羽川ダム(高梁市)についても、管理する中国電力(広島市)に事前放流を指示しなかった過失があるとした。さらに、水の流れを確保する河道の掘削や樹木伐採▽越水を防ぐ堤防の管理▽堤防の切れ目を板でふさぐ「陸閘(りっこう)」の活用―が不適切だったとして、国や県、倉敷市の責任を追及している。
提訴後、地裁前での取材に吉田代表は「真備の水害は、起こるべくして起きた人災だ」と述べ、事前に予測でき、相当な準備をすれば防げたと強調。娘と孫を亡くした原告の会社員男性(62)=同市=は同市真備町地区での会見で、今も悲しみは癒えないとした上で、「2人のために一歩踏み出さないといけない。真実を明らかにしてほしい」と訴えた。
提訴を受け、国、県、倉敷市はいずれも「訴状が届いていないため、コメントを差し控えたい」とした。
真備町地区は、豪雨で町域の3割に当たる約1200ヘクタールが水没、直接死で51人が亡くなった。昨年4月には別の住民らが国や中国電力などを相手に同様の訴訟を岡山地裁に起こしており、今年3月の3次提訴時点で原告は計24世帯46人となっている。
◆2021年6月25日 瀬戸内海放送
https://news.yahoo.co.jp/articles/78a05d86496f2dfab3690524f680b49a74e2e901
ー西日本豪雨で大規模な水害 住民と遺族ら国などに損害賠償求め提訴 岡山・倉敷市真備地区ー
2018年7月の西日本豪雨で岡山県倉敷市真備町を流れる小田川が決壊するなどして、大規模な水害が起きたのは治水対策が不十分だったためとして、住民とその遺族らが国などに対して損害賠償を求める訴えを起こしました。
訴えを起こしたのは、倉敷市真備地区で被災した住民と遺族ら84世帯、215人です。
西日本豪雨で娘の遥さん(当時27歳)と孫の愛ちゃん(当時5歳)を亡くした三宅常男さんも参加しています。
2018年7月の西日本豪雨で倉敷市の真備地区では、小田川の堤防が決壊するなどして地区の4分の1が浸水。51人が亡くなりました。
訴えによると小田川の付け替え工事を行ってこなかったことや河川内の樹木を伐採してこなかったことなどが水害につながったなどとして国、岡山県、倉敷市に約6億4000万円の損害賠償を求めています。
(り災者の会/吉田勤 会長)
「尊い命が50何名奪われた、家が崩壊した責任が倉敷市にも県にもあると思います」
(娘と孫を亡くした/三宅常男さん)
「まだ3年経っても踏ん切りはつきません。国も県も本当のことを言わないからもう何してもふたをしてしまうから」
岡山河川事務所は「訴状が届いておらず、コメントは差し控えさせていただきます」とコメントしています。
◆2021年6月25日 岡山放送
https://news.yahoo.co.jp/articles/b6f865afa807f8bccc2b0e9d51306142f67ce861
ー倉敷市真備町・り災者の会 国・県・市を提訴 総額約6億4000万円の損害賠償求める【岡山・倉敷市】ー
3年前の西日本豪雨で甚大な被害を受けたのは、河川の管理に問題があったなどとして、倉敷市真備町などの住民が国などを相手取り、総額約6億4000万円の損害賠償を求める訴えを6月25日、岡山地方裁判所に起こしました。
(岸下恵介アナ)
「午後2時です。原告団20人ほどが岡山地裁に向かいます。中には、遺影を手に持つ遺族の姿もあります。」
訴えを起こしたのは、倉敷市真備町などで被災した84世帯、215人です。
訴えによりますと、3年前の西日本豪雨による甚大な被害について、小田川の付け替え工事を長年放置していたことや、川に生えた木の伐採や掘削を怠っていたことが堤防の決壊につながったなどとして、国と岡山県、倉敷市に対し、総額約6億4000万円の損害賠償を求めています。
原告団の会見では、西日本豪雨で娘の三宅遥さんと孫の愛ちゃんを亡くした三宅常男さんが、訴訟への思いを話しました。
(娘と孫を亡くした三宅常男さん)
「くよくよしとっても一緒じゃから次の一歩を踏んでいかないといけないと思って。まだ3年経っても踏ん切りがつきません。」
西日本豪雨を巡っては、真備町の別の被災者46人が国などに約8億6600万円の損害賠償を求める裁判を岡山地裁に起こしていて、現在、係争中です。