富士川水系 流水と泥から劇物検出 静岡・山梨両県が発表

 アルミ加工大手、(株)日本軽金属出資の採石業者ニッケイ工業が富士川水系で続けた高分子凝集剤入り汚泥(ポリマー汚泥)の不法投棄が問題になっています。
 駿河湾産サクラエビの不漁を契機に静岡、山梨両県が合同で実施してきた富士川の調査。両県はさる9月17日、今夏の調査結果を発表しました。
 富士川水系では日軽金の発電用設備(堆砂率9割の雨畑ダム、導水管など)が駿河湾に濁水を流し込む装置と化しています。雨畑ダムの下流では、ニッケイ工業が凝集剤入り汚泥を大量投棄。ダムが放流し野積みした汚泥で濁った富士川は駿河湾に注ぎ、サクラエビ不漁問題につながっています。 

◆2021年9月18日 静岡新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/b932a7896ad89292d35b3bca9592ecefe222aaf4
ー富士川水系 流水と泥から劇物検出 静岡・山梨両県が発表ー

 採石業者ニッケイ工業が駿河湾のサクラエビ主産卵場に注ぐ富士川水系で続けた高分子凝集剤入り汚泥(ポリマー汚泥)の不法投棄問題で、凝集剤由来の劇物アクリルアミドモノマー(AAM)の拡散状況を調べた静岡、山梨両県は17日、今夏の調査結果を発表した。国とも協力して実施した流域15カ所のうち、3地点計4サンプルから検出した。

 検出したのはいずれも山梨県内の富山橋付近の2サンプル(流水と川底の泥両方)、南部橋付近1サンプル(流水)、十島せき付近1サンプル(泥)。県生活環境課の担当者は「人や生物への影響を考慮した指標を下回っている」と述べた。

 両県は今夏、凝集剤成分の一つアクリルアミドポリマー(AAP)が紫外線で分解されて生じるAAMについて、不法投棄地点の下流6カ所と「対照地点」としてそれ以外の5カ所の計11カ所を調査した。加えて、国交省甲府河川国道事務所が不法投棄地点下流の富士川本流の計4カ所で流水と泥からAAM検出試験をした。

 両県と同事務所が分析したのは各地点流水200ミリリットル、泥10グラム。流域面積に対して少量にとどまるため、専門家から「結果は流域全体の安全性を保証するものには到底なり得ない」と手法自体に批判があった。

 山梨県は8月下旬、2009年9月から19年5月までの約10年間にAAPのほか、さらに魚毒性の高い凝集剤計18・6トンが河川に流出した、と発表した。

 両県は今秋以降、泥中のAAPの残留状況を調べる方針。魚毒性の高い凝集剤の拡散状況の調査は、「検討中」としている。

https://www.at-s.com/sp/news/article/shizuoka/961039.html
ー劇物検出「やはり」「ショック」 住民や専門家の反応【サクラエビ異変 母なる富士川】ー

 駿河湾産サクラエビの不漁を契機に静岡、山梨両県が実施した富士川の合同調査で、凝集剤の成分が変化して生じる劇物アクリルアミドモノマー(AAM)が検出されたとの17日の発表を受け、住民や専門家の間では驚きの声と「やはり」とする声が交錯した。両県は採石業者による高分子凝集剤入り汚泥(ポリマー汚泥)の不法投棄の影響をさらに調べる。
 ■「富士川病」 
 川に長く漬かると皮膚がただれる人がいて、流域ではポリマー汚泥由来のAAMが関係しているのではと、ますます疑いの目が向けられている。「7~8年前から川に漬かると足の指と指の間がただれる症状が出て、痛くて靴が履けなかった」。富士川でラフティングガイドを十数年務める男性(38)はそう証言した。
 同僚の約10人のうちほぼ全員が同じ症状を発症。ラフティング関係者らの間で「富士川病」と名付け、水から出たら川用のサンダルをすぐに脱ぐようにしたところ、数年前から症状が和らいだ。
 市民からの河川環境改善を求める請願を7月に採択した富士宮市議会の近藤千鶴市議は「富士川の水で皆稲作をしている。本当にショックで、国と両県にはさらなる対応を求めたい」と訴えた。

 ■魚毒性凝集剤
 17日に県生活環境課が開いた会見で、担当者はAAMについて「通常、自然界にはない」とし、検出された流域3地点4サンプルに含まれる量は生物に影響が出る指標を下回っていると強調した。
 ただ、今回、大学教授などの意見を仰がず行政サイドだけで決めたという調査地点数は、凝集剤の影響がないとみられる対照地点を除くと、雨畑川の不法投棄地点から河口までの約50キロで10地点にとどまる。
 富士川水系ではさらに、アクリルアミド系よりも魚毒性の高い凝集剤が2019年5月までの10年間に8トン近く流出していて、生態系への影響が危惧されている。
 (「サクラエビ異変」取材班)

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