石木ダム工事差し止め控訴審 住民側 弁論再開を申し立て

 長崎県では今夏、激しい豪雨が続き、長崎県が強行しようとしている石木ダムの予定地周辺でも大雨が降りました。
 石木ダムは川棚川の洪水調節を建設目的の一つに掲げており、大雨が降るたびに、ダム建設が早急に必要だとのダム推進の声があがります。しかし、石木ダム工事差止訴訟の控訴審をめぐって、原告住民側は先月の豪雨を元に試算したところ、県の想定雨量でも川棚川は溢れることはないとして弁論を再開するよう福岡高裁に申し立てました。長崎新聞は、河川工学の第一人者である今本博健京都大学名誉教授が今夏の豪雨と石木ダムの治水効果について検証した結果を伝えています。

 雨の降り方はその時々で異なりますので、一回の豪雨だけですべてを語ることはできませんが、川棚川の小さな支流、小川のような石木川にダムを建設しても、川棚川の洪水対策として役に立たないことは、現場を見れば一目瞭然です。洪水対策のために石木ダムが必要だと主張する人は、現場を見ていないか、ダム事業で利益を得られる人なのでしょう。
 

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◆2021年9月24日 NHK長崎放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20210924/5030012854.html
ー石木ダム訴訟 大雨でもダム不要と原告が審理再開申し立てー

 川棚町で進められている石木ダムの建設に反対する住民などが、長崎県と佐世保市に建設の差し止めを求めた2審の裁判について、8月の記録的な大雨によって、石木ダムがなくても川が安全に流れることがわかったとして、すでに終わっている審理を再開するよう福岡高等裁判所に申し立てました。

長崎県と佐世保市が川棚町に建設を進めている石木ダムをめぐり、建設に反対する住民などがダムの建設工事などの差し止めを求める2審の裁判はすべての審理が終わり、10月21日に判決が言い渡される予定です。

これを前に住民側はきょう川棚町で記者会見を開き、8月の記録的な大雨によって、石木ダムがなくても川が安全に流れることがわかったとして、24日、審理を再開するよう福岡高等裁判所に申し立てたことを明らかにしました。

申し立てによりますと、専門家が、今回の記録的な大雨で川棚川を流れた水量をもとに計算した結果、県が示した、川があふれずに安全に流れるとする毎秒の水量の最大値よりも1.3倍程度の多くの水量が流れても安全なことがわかったとして、石木ダムは不要だと結論づけています。

原告で住民の岩本宏之さんは「今回の記録的豪雨は、石木ダムの治水計画が破綻していることを立証した。裁判所には申し立てを認めて欲しい」と話していました。

【長崎県は】
住民側が審理の再開を申し立てたことについて、長崎県河川課は「事実関係を把握していないのでコメントできない」としています。

【佐世保市は】
住民側が審理の再開を申し立てたことについて、佐世保市は「裁判所の判断を待って対応を検討したい」とコメントしています。

◆2021年9月24日 長崎放送
https://news.yahoo.co.jp/articles/871b1d67bb739b8609bfcf30e39e18a7ea4be368
ー石木ダム工事差し止め控訴審 住民側 弁論再開を申し立てー

 来月判決が言い渡される予定の石木ダム工事差止訴訟の控訴審を巡り住民側が先月の豪雨を元に試算したところ県の想定雨量でも川棚川は溢れることはないとして弁論を再開するよう福岡高裁に申し立てました。

 この裁判は東彼・川棚町に計画されている石木ダムをめぐり反対する住民が県を相手に工事の差し止めを求めているものです。石木ダムは100年に1度の大雨でも川棚川の氾濫を防ぐことを目的の1つとして建設されることになっています。これについて申し立てでは先月中旬の豪雨を元に試算すると県が想定する「3時間で203ミリの雨」が降った場合でも河川改修された現在の川棚川では溢れることはないと主張。裁判はすでに結審していますが住民側は弁論を再開し今回の件を検証すべきとしています。これに対し県側は「内容を把握しておらずコメントできない」とする一方現在行われている工事を今月末までに終わらせたいとしています。

◆2021年9月24日 長崎文化放送
https://news.yahoo.co.jp/articles/e8ff6e8bb49591c187dc12878f5ce78779a3b746
ー長崎】石木ダム 弁論再開求める申し立てー

 長崎県と佐世保市が東彼・川棚町に建設を進める石木ダムをめぐり、建設に反対する地権者らが福岡高裁で結審した裁判の再開を求める申し立てをしました。

 裁判は水没予定地の住民らが県と佐世保市に工事の差し止めを求めたもので、1審の長崎地裁佐世保支部は去年3月、住民側が訴えた「良好な環境で生活する権利」は工事差し止めの根拠にならないとして請求を棄却、2審の福岡高裁は6月に結審、来月21日に判決が言い渡される予定です。

 24日、現地で会見を開いた住民らは先月の大雨では県がダム建設の根拠としている「100年に一度の大雨」の0.6倍に当たる降水量だったが、水位には余裕があり、仮に県が設定した雨量が降ったとしても、川棚川は氾濫しないと主張。それらの証拠をつけ裁判の弁論再開を求める申立書を24日、福岡高裁に提出したと明らかにしました。

 岩本宏之さん(76)は「今回の記録的豪雨は石木ダム治水計画が破綻していることを立証していると思います」と話しました。炭谷猛さん(70)は「河川管理の基本、あえてリスクの高いダムを造らなくていいとわかった」と話しました。

 石木ダムの建設予定地では今月、長崎県がダム本体の工事に着手、長崎県は2026年3月までのダムの完成を目指しています。

◆2021年9月25日 毎日新聞長崎版
https://mainichi.jp/articles/20210925/ddl/k42/040/453000c
ー「石木ダム」控訴審 弁論再開申し立て 福岡高裁に住民側 /長崎ー

 川棚町で建設計画が進む石木ダムを巡り、水没予定地の住民らが建設主体の県と佐世保市に工事差し止めを求めていた控訴審(6月18日結審)で、住民側は「8月の豪雨により、石木ダムがなくても雨は安全に川棚川を流れることが明らかになった」として24日、福岡高裁に弁論再開の申し立てをした。

 原告代理人によると、8月の大雨のピーク時の河川水量などを基に計算すると、県がダム建設を必要と想定する流量を超えても、安全に水が流れることが今本博健・京都大名誉教授の検証により明らかになったとして、審理再開を求めた。

 原告の一人、岩本宏之さん(76)は「豪雨でも建設予定地近くで家屋被害はほぼなかった。計画は破綻している」と話した。【松村真友】

◆2021年9月25日 長崎新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/b334a216a5ee0490a48d8dcc9b6a8ec72151003b
ー「石木ダムは不要」 8月大雨を専門家が検証 長崎県「降り方で危険度変わる」ー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、河川工学が専門の京都大名誉教授の今本博健氏(83)=京都市=が、8月中旬に川棚川流域で降った大雨のデータを基に石木ダムの必要性を検証した。384戸が浸水被害を受けた1990年7月の豪雨よりやや少ない雨量だったが、水位は低く氾濫しなかったと指摘。河川改修で「100年に一度の大雨でも安全に流れる能力が備わった」として、「石木ダムは不要」と主張した。一方、県は「雨量そのものではなく、降り方で危険度が全く変わる」と反論する。

 石木ダム建設事業の目的の一つは市街地が広がる川棚川下流域の治水。雨量が▽24時間で400ミリ▽3時間で203ミリ-を超える「100年に1度の大雨」で、ピーク時に基準点の山道橋(石木川と川棚川の合流地点からやや下流)を流れる水量を毎秒1400トンと想定。既設の野々川ダムで80トン、石木ダムで190トンの計270トンを低減し、安全に流すことができる1130トンに抑える計画だ。

 県によると、今年8月の大雨のピークは14日。今本氏が山道橋や虚空蔵など四つの雨量観測所の平均雨量を調べると、24時間で494ミリに上ったが、3時間では125ミリ、1時間では69ミリだった。短時間集中の大雨ではなく断続的に降ったため、3時間雨量は「100年に1度の大雨」を超えなかったという。

 今本氏は、雨量と水位(高さ)計の数値を基に、毎秒800トンの水が山道橋地点を水位3・1メートルで流れたと推計。堤防が耐えられる5・8メートルまで2・7メートルの余裕があり、さらに945トンを流す能力があるという。1745トンを安全に流せる計算になり、県の想定を大幅に上回る。1956年や90年の川棚川の洪水を機に実施している護岸整備や河床の掘削などの効果の表れとみており、「石木ダムは必要ない」と結論付けた。

 一方、県河川課は「今回は3時間雨量が計画を下回ったため、氾濫しなかった」との見解を示す。中村法道知事も8月末の定例会見で「雨量そのものではなく、降り方で危険度が全く変わる。急激にピークを迎えるような危険性の高い雨が100年に1度くらいの規模で降る場合にも耐えうるよう計画を策定している」と強調している。

◆2021年9月25日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASP9S77NPP9STOLB005.html?iref=pc_ss_date_
ー石木ダム訴訟原告側、控訴審の審理再開を申し入れー

 長崎県と佐世保市が川棚町で建設を進める石木ダムを巡り、水没予定地の反対住民らが県と市に工事差し止めを求めた訴訟(6月18日結審)について、原告と弁護団は24日、8月の豪雨を踏まえ「100年に1度の大雨が降っても洪水は起きないというデータが得られた」として、審理の再開を福岡高裁に申し入れた。

 8月の豪雨では同町に大雨特別警報が出され、流域4地点の24時間雨量の平均は494ミリを記録。県が100年に1度程度の確率で降ると仮定した400ミリを上回った。一方、3時間雨量は平均125ミリで、県の想定雨量の6割だった。浸水被害などはなかった。

 京都大の今本博健・名誉教授(河川工学)は石木川と川棚川の合流付近の流量を検証した。8月のピーク時の流量は、県が想定するピーク時の流量(毎秒1320立方メートル)の6割とすると毎秒800立方メートル。その時の実際の水位は3・1メートルだったことから県が安全に流せるとする水位5・8メートルに対して2・7メートルの余裕があることが分かった。

 原告弁護団は、今本氏の論考を踏まえ、その2・7メートルに川幅の70メートルと、洪水の流速毎秒5メートルを乗じ、毎秒945立方メートルの「余裕」があったと結論。これに実際の流量800立方メートルを足せば1745立方メートルに。県がダム建設の前提にするピーク流量1320立方メートルを大きく上回ると説明する。

 川棚町でこの日記者会見した魚住昭三弁護士は「現状で、ダムがなくてもこれだけの水を十分安全に流下させられる」と主張。同席した住民の炭谷猛さんは「裁判所に方針転換を迫るのは容易でないが、初めて得られたこの貴重なデータを踏まえて、弁論を再開してほしい」と話した。

 訴訟は6月に結審。10月21日に判決が予定されている。(原口晋也)