長崎県、石木ダム県道付け替え工事拡大、水没予定地またぐ橋など

 長崎県の石木ダム事業は、現在の計画では2025年度に完了することになっていますが、事業は大幅に遅れています。水没地では13世帯の住民が今も以前通りの暮らしを続けており、ダムサイトに建てられた団結小屋はギャラリーとして利用されています。長崎県は事業の実績をつくるために、9月に本体工事着工と大きく広報し、今また関連工事を拡大しようとしています。工事を拡大することでダム予定地をズタズタにし、13世帯の住民があきらめるのを待っているのでしょう。惨いことです。
 けれども、ダム事業はダムそのものが目的ではありませんので、道路の付け替えなどの工事が完了した後、中止される事例は過去にもありました。住民も支援者も連日、抗議行動を続けています

 最近の地元紙の記事を紹介します。

◆2021年11月19日 長崎新聞
https://nordot.app/834234626483339264?c=684597186287141985
ー石木ダム県道付け替え工事 新たに2工区に着手 水没予定地またぐ橋などー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダムの県道付け替え道路工事で、県が今月から新たに石木川上流部の2工区(1.7キロ)の整備に着手したことが18日、分かった。水没予定地をまたぐ橋などを含む。これまではダム本体予定地付近の1工区(1.1キロ)で進めてきた。
 付け替え道路は、水没する嬉野川棚線に替わり、石木地区と木場地区を結ぶ全長約3.1キロ。▽現在の県道を拡幅した300メートル(完成)▽1工区▽2工区-で構成する。
 新たに着手した2工区は、水没予定地をまたぐ形で四つの橋を建設する。最初に着工した橋は長さ133メートル。橋脚3本のうち1本(高さ26.5メートル)について先月、落札業者と契約を結び、今月から周辺の伐採を始めた。工期は来年7月24日まで。
 残りの橋脚や道路は、進捗(しんちょく)状況を見ながら順次入札を行う。県石木ダム建設事務所は「(石木ダム全体の)2025年度完成に向けて、粛々と工事を進めたい」としている。
 1工区は、反対住民が座り込みを続けている場所を含む約140メートルの区間が未完成。他の区間は舗装を終えている。

◆2021年11月23日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASPCQ740RPCMTOLB003.html
ー対話不調、長崎県が県道工事の新たな工区着手 石木ダムー

 長崎県と佐世保市が川棚町で進めている石木ダム建設事業に関連する県道付け替え工事について県は、新たな発注を見送っていた2工区(1・7キロ)の工事に今月から着手したことを明らかにした。

 付け替え予定の県道は計2・8キロ。現在工事中の1工区(1・1キロ)は、反対住民が座り込みの抗議をしている区間を除き大半が舗装まで完成した。

 県は、水没予定地の川原(こうばる)地区に暮らす13世帯の反対住民との対話に向け、本体工事への着手や県道付け替え工事の新たな発注を見合わせてきたが、協議は不調に。そこで県は9月からダム本体工事に着手し、県道付け替え工事について10月に2工区内で水没地区をまたぐ橋の橋脚部の工事契約をしていた。(小川直樹)

◆2021年11月17日 長崎新聞
https://nordot.app/833506847722815488
ー石木ダム 反対住民の「団結小屋」にアトリエ兼ギャラリー 宅地明け渡し期限から2年 住民の石丸さん「古里を守る」ー

  長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、水没予定地で暮らす反対住民13世帯の宅地を含む全用地が、土地収用法に基づく明け渡し期限を迎えて18日で2年がたつ。住民がこのまま応じず、県が行政代執行に踏み切った場合、最初に撤去される可能性があるのが、本体予定地に立つ「団結小屋」だ。反対運動の象徴でもある小屋に、住民でイラストレーターの石丸穂澄さん(39)がアトリエ兼ギャラリーをオープン。新たな拠点にしようと模索している。
 団結小屋は約40年前、抜き打ちで強制測量した県側の動きを見張るために、反対住民らが建てた。トタン張りの外壁には「収用法は伝家の宝刀ではなく鉈(なた)である。返り血も浴びる」などと書かれた看板が長らく掲げられている。
 当初は住民が交代で寝泊まりして警戒。やがて平日の昼間に高齢の女性陣10人前後が集うようになった。しかし、この10年で多くが亡くなり、現在は95歳の松本マツさんが週2回の午前中に通うのみだ。
 運動の主力を担う60~70代の住民は、他の2カ所で抗議の座り込みを続けているため、小屋で過ごすことは少ない。10年ほど前から、石木川周辺の自然や生態系、住民の暮らしをイラストに描き、古里の魅力を発信している石丸さんは「小屋に人がいる状態を引き継がなくては」と自ら活用することにした。
 2部屋のうち、マツさんが使っていない部屋の壁を張り替え、作品を飾るギャラリーに改装した。これまでと違ったイメージを打ち出そうと、室内は思い切ってピンクにした。一方で、外観は「歴史を物語るもの」としてあえて手を入れなかった。
 「石木川ミュージアム」と名付け、月、火曜を除く午後にできる限り滞在。制作に打ち込んだり、訪れた人たちに古里の状況を伝えたりするという。「小屋は私たちのとりでであり、心のよりどころ。人々が集う場を維持し、自分にできる形で古里を守る活動を受け継ぎたい」と話す。
 県側は9月から、堤体両端の斜面掘削に着手。10月に、来年3月30日までを工期とする契約を、施工業者を変えて結び直した。座り込みを続ける住民は「本体着工したと宣伝するのが県の目的。実際はほとんど進んでいない」と話す。これに対し、中村法道知事は10日の会見で「工事を進めているのは任意で(収用に)協力をいただいた土地。反対運動はおやめいただきたい」と述べた。

本体建設予定地に立つ「団結小屋」は住民の反対運動の象徴になっている=川棚町