八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

20年度の東毛工業用水道 利用低調で供給4割減

 群馬県企業局が運営する東毛工業用水道は、群馬県東部の太田市などの工業地帯に工業用水を供給していますが、その利用が低調とのニュースが地元紙の一面で取り上げられていました。
 東毛地域では上水道も利用が低調で、各自治体の水道事業が統合されてきました。東毛工業用水道が低調であることも以前から言われてきたことです。
 記事には書かれていませんが、水需要の減少が明らかなこの水道も、水源開発を目的とする八ッ場ダム事業に参画しました。不要な水源開発は、水道事業の財政を悪化させ、水道料金の値上げという形で利用者に負担を強います。

◆2021年12月5日 上毛新聞(紙面記事より転載)
https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/37485
ー20年度の東毛工業用水道 利用低調で供給4割減 効率化や産業変化でー

 群馬県企業局が運営する東毛工業用水道の利用が低調だ。2020年度の給水量は、ピーク時の04年度と比較して契約水量で26.5%減、実際の供給量で42.2%減となった。産業構造の変化や水利用の効率化が背景にあるが、減少が続けば収支が悪化し、「産業の血液」として企業の生産活動を支える工業用水の維持が難しくなる恐れもある。

 同水道は伊勢崎、太田、舘林、板倉、明和、千代田、大泉、邑楽の3市5町を給水区域とし、20年度は87社97事業所に給水した。供給された水は、製造業を中心に冷却水や洗浄水として使われている。

 料金は最大使用量に応じてあらかじめ取り決めた契約水量と実際の使用量で決まり、収入に与える影響が大きい契約水量は04年度4215万立方㍍、14年度3410万立方㍍、20年度3098万立方㍍と減少が続いている。20年度の料金収入は10億5500万円で、04年度から4億円余り減った。

 要因について、企業局は水を再利用する技術が向上したほか、物流業など水を使わない産業が増えた可能性があるとみている。
 1978年に給水を開始した同水道は、今後老朽化対策や耐震化で多額の設備投資が見込まれている。企業局の第2次経営基本計画(2021~30年度)では、渋川工業用水道を含めた工業用水道事業全体の収支見通しについて、設備投資の増加によって35年度ごろまで減益傾向が続くと予想。以降は増益傾向に転じるとみるが、給水量の増加を前提としており、利用が伸びなければ経営が悪化する恐れもある。

 状況改善に向け、企業局は市町村と連携してサーバー冷却に多くの水を使うデータセンターのほか、食品、医療機器など水需要の大きい産業の誘致を進める。地下水を使っている企業に対し、工業用水への転換を働きかける営業活動も強化する。

 企業局は「工業用水担当の職員を企業誘致の場に同行させるなどし、積極的にニーズを掘り起こしていきたい」としている。(丸山卓郎)

—転載終わり—

 上記の記事が取り上げている群馬県企業局の第2次経営基本計画(2021~30年度)の文書が群馬県サイトの以下のページに掲載されています。

★群馬県ホームページより
 「第2次群馬県企業局経営基本計画」
  https://www.pref.gunma.jp/06/q01g_00031.html

 第3章 事業別経営計画>2 工業用水道事業 21ページ
 https://www.pref.gunma.jp/contents/100195369.pdf