鬼怒川水害訴訟(茨城県常総市)が結審

 2015年に起きた利根川水系の鬼怒川の水害(茨城県常総市)をめぐり、被災者が河川管理者である国を提訴した裁判は、今月25日に結審となりました。判決は7月22日に水戸地裁で言い渡されるとのことです。

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 NHKの記事は、水害訴訟が半世紀近く前の「大東水害訴訟」の判例(1976年)により、水害被災者が河川管理者(鬼怒川水害の場合は国交省)の責任を問う際、限りなく高いハードルが設けられていることを詳しく説明しています。
 わが国では大東水害訴訟以来、河川管理者がたとえ適切な治水対策を行っていなかったとしても、責任を追及されることは殆どなくなりました。裁判では予算などの制約があることが考慮され、適切な対策が行われていなくとも、予定されていれば責任がないとされてきました。このため、被災者が勝訴することはほとんどなく、河川行政において流域住民の意見が反映されないという事態が続いています。近年の水害の中には、ダム建設等の大型事業を優先し、喫緊の治水対策を後回しにしたことが原因であるものが少なくありません。鬼怒川においても、国は屋上屋を重ねるように四基の巨大ダムを建設し、一方で堤防がない箇所を放置してきました。過去の判例の見直しは河川行政を改善するうえで極めて重要ですが、前例踏襲が繰り返される中、7月の判決はどうなるでしょうか。
 なお、NHKの記事の裁判の争点の説明の中で、「水が堤防を越えた若宮戸地区」という文がありますが、若宮戸地区には堤防がありませんでした。堤防がないため、住民が不安を抱き、堤防整備を要望していましたが、後回しにされていました。

◆2022年2月25日 NEWSつくば
https://newstsukuba.jp/36815/25/02/
ー7月22日水戸地裁で判決へ 常総水害訴訟が結審ー

 2015年9月の鬼怒川水害で、住民が甚大な浸水被害を受けたのは国交省の河川管理に瑕疵(かし)があったためだなどとして、住宅や家財、車などの浸水被害を受けた常総市の住民ら32人が18年7月、国を相手取って約3億5800万円の損害賠償を求めて国家賠償訴訟を起こした裁判の口頭弁論が25日、水戸地裁(阿部雅彦裁判長)で開かれ、住民側、国側いずれも最終準備書面を陳述して結審した。判決は7月22日言い渡される。

 25日の裁判では原告団長の片倉一美さんが、被害の状況や住民側の主張をまとめた画像を法廷で映しながら、これまでの裁判を振り返り「国の言い分はあまりにも非常識で、論点をごまかす姑息(こそく)な言い換え」だなどと述べ、「国民の生命と財産を守るという使命が微塵も感じられない」などと国の河川行政を真っ向から批判した。

 裁判終結後、水戸市内で開かれた報告集会で住民側弁護団の只野靖弁護士は「日本各地で洪水や水害が発生している。自然災害としてやむを得ないものもあるが、鬼怒川の上三坂(堤防決壊)と若宮戸(溢水)に関しては、人災だと確信をもって言える。裁判前は、国は『仕方なかった、もう少しやりようがあったが予算が付かなかった、地主の理解が得られなかった』など、いろいろな制約があったと主張すると思っていた。ふたを開けてみたら中身は空っぽ。(築堤や護岸改修の順番をどう決めるかなど)予算の範囲内で次にどこをやるかをあまり考えないでやっていこうというのが国の河川行政の中身で、計画らしいことが出てこなかった。これでは住民の生命と財産は守れない。この裁判を通してこうした在り方が見直されればいい」と話した。

 原告団長の片倉さんは「理不尽な思いから、私たちと同じような被害を最小限にできないかと裁判をスタートした。鬼怒川だけでなく、全国の水害被害者が束になってかかれば裁判官の見方も変わるはず。今回の裁判はそういう一歩となれば」と語った。

 裁判は、行政の責任の範囲を限定した1984年の大東水害訴訟最高裁判決の判断基準を元に、河川改修工事の順番が合理的だったかどうかなどが争われた。堤防が決壊した上三坂地区について住民側が、堤防が一番低く最も危険な場所で最優先で工事をする必要があったと主張したのに対し、国側は、堤防の高さだけでなく質も含めた評価を行う必要があるなどとし、堤防の幅を加味したスライドダウン評価という計算上の堤防の高さを元に、上三坂地区の管理に瑕疵はなかったと主張した。さらに砂丘林による自然堤防が掘削されソーラーパネルが設置された場所から水があふれ出た若宮戸地区については、住民側が、国が河川区域に指定していれば掘削を防げた、指定しなかったのは河川法の政令違反だと主張したのに対し、国側は、河川区域の指定は河川改修計画の合理性とは無関係で河川管理に瑕疵があったとは言えないなどと主張した。(鈴木宏子)

◆2022年2月25日 NHK茨城放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/20220225/1070016210.html
ー常総水害訴訟が結審 判決はことし7月の予定 水戸地裁ー

 7年前の「関東・東北豪雨」で大規模な浸水被害が出た茨城県常総市の住民などが国に対して3億円余りの損害賠償を求めている裁判で、最後の弁論が25日、水戸地方裁判所で開かれ、原告の1人が「堤防の低い危険な場所を最優先に整備しなくては国民の生命と財産を守れない」と意見を述べました。
 判決はことし7月に言い渡される予定です。

 平成27年の「関東・東北豪雨」では鬼怒川の堤防が決壊し、大規模な浸水被害が出て茨城県内で3人が死亡、13人が災害関連死に認定されています。
 住宅が浸水する被害を受けた常総市の住民など32人は、「国は堤防の高さが不足していることを知りながら、適切な対策をとらなかった」などとして、国に対して3億円余りの損害賠償を求める訴えを水戸地方裁判所に起こしています。
 25日は、最後となる11回目の弁論が開かれ、この中では原告団の共同代表を務める片倉一美さんが、「洪水は堤防の低い場所から起きるのであり、そこを最優先に整備しなくては国民の生命と財産を守れない。国に責任がないというのは大きな間違いだ」と意見を述べました。
 一方、被告の国側は「堤防などの整備計画を適切に立てたうえで鬼怒川全体で段階的に整備を進めていた」などとして、改めて、全面的に争う姿勢を示しました。
 判決はことし7月22日に言い渡される予定です。

 茨城県常総市で鬼怒川の堤防が決壊し、大規模な浸水被害が出た平成27年の「関東・東北豪雨」。
 被災した常総市などの住民たちが国に対して3億円余りの損害賠償を求めている裁判で2月、最後の弁論が開かれました。
 7月に予定されている判決を前に、詳しい争点をお伝えします。

(水戸放送局 田淵慎輔記者)
【争点は「計画が合理的か」】
 住宅が浸水するなどの被害を受けた住民たち32人が「鬼怒川の堤防の高さが不足していることを知りながら、国は適切な対策をとらなかった」などとして、国に対して3億円余りの損害賠償を求めているこの裁判。
 争点になっているのは、鬼怒川の堤防などを整備する「計画」が「合理的」かどうかです。

〈下敷きは昭和51年の最高裁判決〉
 というのも、今回の裁判では原告側も被告側も、水害をめぐる過去の同じ判決、昭和51年の最高裁の判決を下敷きにして主張しているからです。
 これは大阪府大東市を流れる谷田川の氾濫によって被害を受けた住民が国の責任を訴え、損害賠償を求めた裁判でした。
 この裁判の判決で最高裁は、水害が起きた時の河川の整備状況だけでは国の管理に問題があるとは言えず、「整備の計画」に注目するべきだと示しました。
 例えば、一般的な川で、あるところだけ堤防が低くなっていたり、川に土砂がたまって水位が上がっていたりして、水があふれやすくなっていたとします。
 「危険だな、ちゃんと整備してほしいな」と思うところですが、判決では「堤防のかさ上げ工事などの整備をいま、進めている河川なら“高まっている途中の安全性”で十分」だとしています。
 つまり、まだ整備が終わっていなくて安全性が不足していても、これから整備しようとしていれば、「管理としては問題ない」ということです。
 そのうえで、行おうとしている整備のもとになる「整備計画」に注目し、計画が“格別不合理でないか”や、計画を前倒ししなければならないような、危険がはっきり分かる“特別な事情があるか”で、管理に欠陥があるか判断すると示しています。
 川は多かれ少なかれ、水害の危険をはらんだ自然のものであるため、完全な人工物の道路などの場合と比べると、厳密な管理を求めない判断基準になっているということです。
 また、堤防などの整備にはさまざまな制約、例えば「全国にたくさんの河川がある中で予算が限られる」であるとか、「堤防の整備には工事の技術上も、用地の取得などでも時間がかかる」といった制約があって、整備が簡単には進まないことなどが考慮されています。

【鬼怒川の水害詳しい争点は】
 今回の裁判も、こうした枠組みの中で争われています。
 争点を詳しく見ていきます。
 裁判で主に争われているのは、場所で言うと2つ。
 決壊地点の上三坂地区と、水が堤防を越えた若宮戸地区。
 どちらも当時、被害が特に大きかった地域です。

〈上三坂地区〉
 まず上三坂地区についてです。
 原告側は「地盤沈下で堤防の高さが年々下がって、計画上の高さを下回っていた。国は測量でそれを知っていながら、ほかの地域より堤防の整備を優先するなどの対策をとらなかった」と主張しています。
 これに対して、国は「用地の調査を始めるなど、堤防の整備に向けて動いていた。また、堤防の高さだけでなく幅なども踏まえて安全性を評価し、上流や下流とのバランスを総合的に考えながら整備を進めていた」と反論しています。

〈若宮戸地区〉
 次に若宮戸地区についてです。
 この地区は太陽光発電のパネルが作られたすぐそばで氾濫が起き、水害当時から堤防の整備の経緯が話題になっていました。
 原告側は「太陽光パネルの設置のために、もともと堤防の代わりになっていた砂丘林が削られてしまった。国はこの砂丘林を河川区域に指定して、掘削などを自由にできない区間にするべきだったし、堤防を造るなどの十分な対策もとっていなかった」としています。
 これに対しても、国は「河川区域の指定は法令に定めがなく、指定していないことで整備計画が不合理であるとは言えない。堤防を造る計画を立てたうえで作業を進めていたし、掘削工事の後に土のうを積むなど、できるかぎりの措置を講じている」としています。

【国の責任認められるか】
 整備の状況そのものというより、「計画が合理的」かどうかが争点となっている裁判。
 何が不合理で、逆に何が合理的なのかは難しい判断となります。
 はじめにも触れましたが、最高裁の判例の判断基準では、例えば「予算が限られている」とか、「堤防の整備には時間がかかる」といったことも考慮されます。
 水害に対しては完全な安全性を備えることはできない、という前提で、さまざまな行政側の事情が検討されるので、これまでの水害の裁判では国の責任を認めるケースは決して多くありません。
 最高裁の判例が大きな“壁”だと言われてきた理由です。
 判決で国側の責任が認められるには、やはり大きなハードルがあると思います。
 ただ、取材している中ではそのハードルがとてつもなく高い、とも感じません。
 今回の裁判では、被災した1人1人が法廷に立ち、それぞれが1時間ほど時間をかけて、当時の被害状況や裁判に臨む思いを述べました。
 これは「なるべく多くの原告に発言する機会を設けたい」という原告の弁護団の考えに対し、裁判所が理解を示して提案を受け入れたためです。
 実際に裁判を取材していても、裁判官は原告たちのことばに耳を傾け、丁寧に質問している印象でした。
また、去年8月には水害現場の視察も行われましたが、これは「国の責任について判断するなら、ぜひ現地を見て考えてほしい」という原告の強い要望に対し、裁判所が可能な範囲で応じたものでした。
 裁判官が当事者の証言などに真剣に耳を傾けること自体はある意味当然なので、要望に応じているからといって、原告側に有利な判断がされるとは言い切れません。
 ただ一方で、原告の訴えが全く取り合われていないというわけでもないと感じます。

【注目の判決 原告に向き合えるか】
 7年前の「関東・東北豪雨」の後、全国的に水害が相次いでいます。
 被災地の中には裁判を起こす動きもあり、今回の裁判でどのような判決が出されるのか注目が高まっています。
 常総市の水害に限った話ではありませんが、自然災害で被災した人は少なからず、「なぜこんなことになってしまったのか」、「災害を防ぐことはできなかったのか」というやり場のない思いに襲われます。
 今回の裁判に原告として参加している人たちも「水害の原因を知りたい」という気持ちで提訴まで3年、その後も25日まで3年半という長い時間、裁判に向き合ってきました。
 判決で国の責任はどの程度認められるのか、注目が集まるところですが、訴えが認められる、認められないにかかわらず、判決が少しでも被災した原告の気持ちに報いるものであってほしいと思います。

◆2022年2月26日 茨城新聞
https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=16457962915130
ー茨城・常総水害訴訟 住民側「整備に遅れ」 水戸地裁結審 判決は7月22日ー

 2015年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川の水害に遭ったのは、国の河川管理に不備があったためとして、被災住民らが国に約3億5千万円の損害賠償を求めた訴訟は25日、水戸地裁(阿部雅彦裁判長)で結審した。最終弁論で住民側は「堤防が低い危険な場所の整備が遅くなったこと自体が瑕疵(かし)である」と述べた。判決は7月22日に言い渡される。

 最終弁論で原告団の片倉一美共同代表は、被災当時の自宅の写真を示しながら「洪水は堤防の低い所から起きる。すぐに手を打たなくてはならなかった。国の整備計画の手法は筋違いだ」と、計画に問題があったと強調。阿部裁判長に「皆が納得するような公正な判決をお願いしたい」と一礼して締めくくった。

 訴状や準備書面によると、住民側は、鬼怒川の堤防が決壊した常総市上三坂地区については、堤防整備計画でここ以外の場所を優先し、越水まで余裕があった別の地点を改修して危険箇所を後回しにしたと主張。水があふれた同市若宮戸地区は、国が河川区域に指定することを怠り、堤防の役割をしていた砂丘林が太陽光発電事業で掘削され、水害につながったと主張した。

 国側は、整備計画は決壊地区以外にも未整備区間があったとして、整備の順序は洪水の被災履歴、上下流のバランスなどを総合的に勘案して進めていたと説明。若宮戸地区の河川区域指定については、砂丘が堤防としての役割を果たさず、同地区全体の堤防整備を計画していたため、欠陥には当たらないなどと反論した。

 公判後、住民側は水戸市内で記者会見し、只野靖弁護士は「住民の命を守る気がないなら、河川管理者として失格だ」と国側を非難した。

 住民側は18年8月、水戸地裁下妻支部に提訴。19年2月には、受理した事件の担当裁判所を移す「回付」があり、同地裁本庁で弁論が開かれてきた。昨年8月には、阿部裁判長ら裁判官3人が決壊現場など被災地域を視察した。

【常総水害訴訟を巡る経過】
2015年9月 関東・東北豪雨で鬼怒川堤防が決壊するなど、常総市を中心に大規模な浸水被害
2018年8月 国の河川管理に不備があったとして、被災住民らが損害賠償を求め水戸地裁下妻支部に提訴
2019年2月 水戸地裁下妻支部が訴訟を水戸地裁本庁に回付
2021年8月 裁判官3人が決壊現場周辺を視察
2022年2月 訴訟が結審
2022年7月 水戸地裁が判決言い渡し(予定)

【常総水害訴訟の主な争点】
■堤防改修計画
被災住民らの主張 上三坂地区の堤防整備を他の箇所の堤防整備よりも後回しにした改修計画は、著しく不合理で、河川管理の瑕疵である

国側の主張 鬼怒川は氾濫当時、既に改修計画が定められ、上三坂地区以外にも未整備区間があった。治水安全度の低い箇所を優先した

■安全度の評価手法
被災住民らの主張 現況の堤防高を第一に考慮すべきで、国側の実施した方法は役に立たず、整備の時期や順序の判断には使えない

国側の主張 国の治水マニュアルに従った。安全度は堤防の形状を確保し、護岸整備などで総合的に高める。住民側の手法は独自の見解

◆2022年2月26日 毎日新聞茨城版
https://mainichi.jp/articles/20220226/ddl/k08/040/033000c
ー常総水害訴訟 河川行政、国民のために 原告側、訴え結審ー

 2015年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川が氾濫したのは国の河川管理に不備があったためとして、常総市民らが国に損害賠償を求めた訴訟の最終弁論が25日、水戸地裁(阿部雅彦裁判長)であった。原告団共同代表の片倉一美さん(68)が意見陳述で「(堤防の役割をしていた砂丘林を)国が河川区域に指定しなかったのは瑕疵(かし)だ」などと述べ、国の責任を改めて訴えて結審した。判決は7月22日。

 原告は市民ら31人と1法人。訴状などによると、堤防がなかった同市若宮戸の越水について、国が一帯を土地の掘削などに許可が必要な河川区域に指定していなかったために、民間業者による砂丘林の掘削を止められず水があふれたと主張。同市三坂町で起きた堤防の決壊についても、堤防が低く決壊の危険性が高かったにもかかわらず、安全評価を誤って改修を後回しにしたとしている。原告側は裁判で、三坂町の決壊について、堤防の厚さを評価に加味したのが誤りの原因と訴えていた。

 片倉さんは意見陳述で「国の非常識な対応が大水害を引き起こした。国民のための河川行政に変わってもらいたい」と、30分弱にわたって国の責任を訴えた。

 国は書面で、若宮戸について、砂丘林は堤防の役割を果たしておらず、堤防整備のための作業を進めていたと主張。三坂町については、堤防の厚みも含めた評価が一般的で、原告の主張は「独自の見解に基づいたもので誤り」と反論し、あらためて請求棄却を求めた。

 原告側代理人の只野靖弁護士は結審後の記者会見で、「裁判でも国から改修計画らしいものは出てこず、やりやすいところから整備しているだけだった。(水害は)人災という確信が深まった」と述べた。

 この豪雨で、常総市は市域の3分の1に当たる約40平方キロが浸水。53棟が全壊、計約5000棟が大規模半壊か半壊の被害を受け、災害関連死を含めて15人が死亡した。【宮田哲、森永亨】

◆2022年2月15日 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/160286
ー常総水害訴訟25日結審 「国の責任、明らかに」 原告団ら 報告会で呼び掛けー

 二〇一五年九月の関東・東北水害で鬼怒川の堤防が決壊し、住宅などが被災したのは国の河川管理の不備が原因だとして、常総市民ら約三十人が国に損害賠償を求めた裁判が二十五日、水戸地裁で結審する。原告団と「裁判を支える会」が十一日に開いた報告会で、原告団の高橋敏明共同代表(68)は「水害は人災。被害者が力を合わせ、国の責任を明らかにしていこう」と呼び掛けた。(林容史)
 報告会にはウェブ会議システム「Zoom」を含め約百人が参加し、片倉一美共同代表(68)が争点を説明。一八年七月の西日本豪雨、一九年十月の台風19号などの水害被災地ともZoomでつなぎ、「裁判に勝つには多くの国民の声が必要」などと声を上げた。
 訴状などによると、市内の若宮戸地区では、自然の堤防の役割を果たしていた砂丘林を、掘削などの際に許可が必要な河川区域に国が指定していなかったため、民間業者が太陽光発電事業で掘削して「無堤防」状態に。上三坂(かみみさか)地区では、堤防の高さが周囲に比べて不足していたにもかかわらず、国がかさ上げを怠り、決壊につながったと主張している。
 水害では、市の約三分の一に当たる約四十平方キロが浸水し、住宅五千百六十三棟が全半壊した。市民らは一八年八月、河川管理者の国に住宅の修繕費や慰謝料など計約三億三千五百万円の支払いを求め、水戸地裁下妻支部に提訴。裁判は水戸地裁に移送された。