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国交省、川辺川の新ダム計画盛り込む球磨川水系河川整備計画(案)公表

 さる7月1日、国土交通省九州地方整備局と熊本県は、球磨川水系河川整備計画(案)を公表しました。

★球磨川水系河川整備計画(案)の公表  2022年7月1日  九州地方整備局  熊本県
 https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/186796.pdf

[国管理区間](案)https://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/river/kasenseibi/seibian.pdf

[県管理区間](案)https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/186795.pdf

 球磨川水系における国の管理区間は球磨川本流と、最大支流の川辺川におけるダム建設区間です。
 下図参照=球磨川水系河川整備計画(案)[国管理区間]90ページ

 球磨川水系の河川整備計画策定は、球磨川最大支流の川辺川で新たなダム計画を進めるための重要な手続きです。川辺川ダム計画は2008年の熊本県知事による白紙撤回表明により、一旦は中止されるかに見えましたが、国土交通省はダム計画の中止手続きを取らず、ダム以外の治水対策を進めないまま2年前の球磨川水害を迎えました。その後、この二年間の九州地方整備局の動きは、すべて川辺川ダム計画復活をめざすものでした。

 6月24日には球磨川水系学識者懇談会が開かれ、球磨川水系河川整備計画案についての審議が行われました。当日の資料が以下のページに公開されています。
 http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/gakusiki_kondankai/20220617.html

 流域住民からは公聴会やパブリックコメントで、河川環境を悪化させる川辺川ダム計画への反対意見、他の治水対策の必要性などが数多く出されましたが(市民団体の分析によれば、反対意見が7割)、形ばかりの学識者による審議もこれで終了し、河川整備計画策定に向けて一挙に進むことになりました。
 あとは県知事、関係市町村長の意見を聴取して、整備計画の策定・公表になります。

〈参考)「流水型ダム「反対」7割 市民団体が意見公募を独自分析 球磨川治水」

 現在の河川行政は、国がダム計画を進める時に、それを食い止める方策がありません。
 パブリックコメントで提出された意見、公聴会の応募用紙、意見陳述内容のオリジナルデータ(全963ページ)も上記ページに公表されています。ダム計画への反対意見、瀬戸石ダム撤去要望、この間の国交省の治水対策不作為に対する不信、流域の森林の問題などが当事者ならではの視点で訴えられているのがわかります。流域住民を置き去りにしたダム行政に対する悲痛な叫びが伝わってくるようです。(一部抜粋)
 http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/iken_itiran.pdf