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鳥海ダム事業費大幅増をめぐり秋田県知事、「やむを得ない」

 ダム事業は当初のダム計画で事業費と工期が決められますが、「小さく産んで大きく育てる」と言われるように、事業が進むにつれて事業費が膨張し、工期も延長されるのが常です。

 国交省東北地方整備局が秋田県で進めようとしている鳥海ダムも例外ではありません。国交省は事業費をこれまでの1.8倍超の1990億円へ、工期を4年延長して完成予定を2032年度に変更することになりました。➡参考ページ
 国と共に事業を進める秋田県の負担率はダムの当初計画で決められており、秋田県の負担額は147億円増え、約328億円となる見込みだということです。
 秋田県の佐竹知事は今月6日のニュースによれば増額が妥当かどうか精査するとしていましたが、結局は受け入れざるを得ません。

 鳥海ダムの主目的は「子吉川の洪水調節」ですが、子吉川の流域面積1190㎢に対して、鳥海ダムの支配面積は83.9㎢であり、7%の支配率です。洪水調節効果はごくわずかといえます。
右図=国土交通省東邦区地方整備局鳥海ダム工事事務所ホームページより「鳥海ダムの概要」

 関連記事をお伝えします。

◆2023年6月9日 NHK秋田放送局
 https://www3.nhk.or.jp/lnews/akita/20230609/6010017824.html
ー鳥海ダム総事業費 知事 “県負担含め増額規模妥当か精査”ー

 秋田県の佐竹知事は、由利本荘市で建設が進められている「鳥海ダム」を視察したあと、記者団に対して、ダムの総事業費が当初の1.8倍に膨らむ見通しとなったことから、県の負担も含めて増額の規模が妥当かどうか精査する考えを示しました。

 由利本荘市鳥海町で建設が進む鳥海ダムをめぐっては、国土交通省が先月、資材価格の高騰などを理由に、総事業費が当初の計画の1.8倍のおよそ1990億円に膨らむことや、工期も4年間延長する案を発表しています。

 秋田県の佐竹知事は9日、ダムの建設現場を視察し、鳥海ダム工事事務所の竹内久一所長からこうした状況などについて説明を受けました。

 県によりますと、総事業費が増えたことで、県の負担もこれまでの182億円から329億円に増える見通しだということで、県は、来週13日に始まる県議会の中で説明することにしています。

 視察のあと、佐竹知事は記者団に対し、「県の公共事業の金額も4、5年前の設計から1.5倍ほどになっており、昨今の資材高騰などを考えると納得はできるが、議会や県民にしっかり説明する必要があるので、増額の規模が妥当かどうか内容を精査したい」と述べました。

◆2023年6月22日 秋田魁新報
https://www.sakigake.jp/news/article/20230622AK0026/
ー鳥海ダム事業費大幅増「やむを得ない」 知事、縮減も求めるー

  秋田県は21日、由利本荘市で建設が進む鳥海ダムの整備に対する知事意見関連議案を6月議会に追加提案した。国土交通省が先月、鳥海ダムの総事業費が当初計画を上回る見通しになったと発表したことを受けた対応。知事意見は事業費の増加に同意するとの内容で国交相に提出される。(以下略)

◆2023年6月29日 日経クロステック
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00142/01637/
ー「4週8閉所」への対応でダム工事の工期・費用が次々増大ー

(一部引用)
 総事業費の増額により、秋田県の負担額は約147億円、由利本荘市の負担額は約10億円増える。佐竹敬久知事は23年6月6日の記者会見で、「機能性や安全性などを担保しながら、どこまで事業費を圧縮できるか県として検討する」とコメントした。

 その後、鳥海ダムの建設現場を視察するなどして工事内容を精査した県は、増額はやむを得ないと判断。「できる限り経費を節減できるように努めてもらいたい」(佐竹知事)としつつ、計画の変更案に同意する考えを示した。6月21日には鳥海ダムの整備に対する知事意見関連議案を6月議会に追加提案した。可決後、斉藤鉄夫国交相に意見を提出する方針だ。