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長崎県と共に石木ダム推進の佐世保市長、現地を初訪問

 住民の反対運動が注目されている石木ダム事業は、長崎県と共に佐世保市が進める公共事業です。石木ダムの主目的には、佐世保市への「都市用水の供給」がありますが、佐世保市は全国の他の自治体と同様、水需要が低迷し、減少傾向にあります。佐世保市の都市用水という側面から見て、石木ダムは明らかに不要ですが、佐世保市は石木ダムの早期完成を目指す姿勢を変えようとしません。

 4月の市長選で初当選した佐世保市長は、さる6月11日にダム予定地を訪ねたとのことです。報道によれば、市長はダムの必要性を住民に理解してもらうべく、コミュニケーションを図ったとのことですが、住民に不要なダムの必要性を理解してもらうのは到底不可能ですから、単なるパフォーマンスと受け取られても仕方ありません。

 現地では長崎県が住民を強制的に立ち退かせる「行政代執行」を断行するかどうかが焦点となってきましたが、ダム予定地を抱える川棚町の波戸町長は「行政代執行」には反対であることを強調しています。長崎県としては、田んぼの水路を壊すなど、住民の生活を脅かす工事を続けることで、住民が根負けするのを待っているということなのでしょう。ここにもダム行政の惨さが表れています。
 
◆2023年6月13日 長崎新聞
 https://nordot.app/1041166393118540413
ー石木ダム 佐世保市長が建設予定地を訪問 就任後初めてー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で、宮島大典市長が11日、4月の就任後、初めて反対住民への就任あいさつのため建設予定地を訪れた。
 同市水道局によると、波戸勇則町長の案内で、予定地で暮らす13世帯中、8戸を2時間ほどかけて回った。不在だった3世帯は封筒を投函(とうかん)した。事前連絡はしていない。
 宮島市長は12日、取材に対し「従来の(絶対反対という)お話をいただいた。理解を求めるとかまで話はしていない」と述べた。
 宮島市長と対面した反対住民の一人はダムの事業費や水需要など、事業の疑問点を尋ねたが、明確な答えはなかったという。「休みに突然来られても」と困惑し、「会うのであれば事業を勉強してからにしてほしい」と注文した。封筒が自宅に投函された別の住民は「文書はなく名刺だけ。現地を訪ねたというパフォーマンスではないか」と冷ややかだった。

◆2023年6月16日 テレビ長崎
https://www.ktn.co.jp/news/detail.php?id=20230615007
ー「話し合いの場をつくる」石木ダムをめぐり川棚町の波戸町長が強調ー

 東彼・川棚町の石木ダム建設をめぐり、反対住民と県との話し合いが途絶えているなか、15日の川棚町議会の一般質問で波戸町長は「話し合いの場をつくる」と述べました。
 川棚町議会の一般質問で辻 清人 議員(日本共産党)は、石木ダム事業について質しました。
 県と佐世保市が2025年度の完成を目指している石木ダムは、事業に反対している13世帯の住民と、知事との話し合いが途絶えています。

 波戸町長は、石木ダムは治水面で重要だと従来からの立場を説明したうえで「反対住民が望むなら話し合いの場を作れる」と述べました。

 予定地の住民でもある炭谷 猛 議員(無所属)も質問に立ちました。

 炭谷 猛 議員 「行政代執行を県が行うとなった場合、町長はどう対応をするのか」

 川棚町 波戸勇則 町長 「私自身も行政代執行にならないように、県や市と連携を密にして、反対している。住民の方と話し合いの場が持たれるよう努めたい」

 波戸町長は、大石知事と非公式含めこれまで4回面会したとしたものの、具体的な内容は明かしませんでした。

◆2023年6月16日 長崎新聞
https://nordot.app/1042243697732879212
ー石木ダム 川棚町長「話し合いを」 行政代執行問われ、見解述べるー

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、波戸勇則町長は15日、水没予定地13世帯の家屋を強制的に撤去する行政代執行について「(大石賢吾)知事と(住民)の話し合いで解決することを願う。私自身、行政代執行にならないよう県市と連携を密にしたい」と見解を述べた。
 同日開会した定例町議会の一般質問で、水没予定地住民でもある炭谷猛議員(無所属)に答えた。炭谷議員は「住民はダムは不要と考える。どう協力を求めるのか」と尋ねたのに対し、波戸町長は「安心安全のためダムは必要。しかし、話し合いがないまま進めば悔いを残すことになりかねない」と答えた。
 住民と知事との話し合いは、昨年9月を最後に途絶えている。
 波戸町長は、県が予備調査に入る1972年、当時の町長が「県が独断専行、強制執行などに出た場合、総力を挙げて反対する」との内容で住民側と交わした覚書について、調査のために締結したものとし「現在は覚書の効力はないと引き継ぎを受けている」とする従来の町の見解を述べた。辻清人議員(共産)への答弁。