八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場ダムの原石山に吾妻六町村のごみ処理施設建設へ

 川原湯温泉の背後の山、金鶏山(金花山)は、八ッ場ダムの原石を採取したため、山の裏側が大きくえぐられています。えぐられた部分にあったプラントヤードの跡地は国土交通省から財務省へ所管替えされ、地元の東吾妻町に引き渡されたのち、吾妻六町村のごみ処理施設として利用されます。
 ちょうど一年前の12月、上毛新聞が一面トップで報じたニュースの続報が今朝の紙面に掲載されましたので、お伝えします。  ➡一年前の記事はこちらです。

◆2023年12月14日 上毛新聞 紙面より転載
ー八ッ場骨材プラントヤード跡 ごみ処理施設建設へ 吾妻の組合に引き渡しー

 八ツ場ダム建設事業で使われた骨材プラントヤード跡地(群馬県東吾妻町大柏木)について、国有財産関東地方審議会は13日、吾妻郡6町村でつくる吾妻環境施設組合などに引き渡すことが適当とする意見をまとめた。同組合は6町村共同の新ごみ処理施設の建設候補地としており、取得後に整備を進めて2030年度の供用開始を目指す。

 財務省関東財務局によると、跡地は道路用地を含めて約18万8000平方メートル。ダム建設事業の終了に伴い更地となり、22年3月末に国土交通省から財務省に所管替えされていた。無償貸し付けや時価売却により、約7万3千平方㍍を道路用地として東吾妻町にそれぞれ引き渡す。来年3月の契約締結を予定している。

 郡内で稼働中の3カ所のごみ処理施設は運用開始から30年以上が経過。中之条、長野原、嬬恋、草津、高山、東吾妻の6町村は新施設による郡内のごみ処理一本化を目指している。(前原久美代)

—転載終わり—

 ゴミ処理施設を共同で使用することになる吾妻郡6町村の人口は合計5万人あまりです。(11/1現在の人口)

 中之条町 1万4491人
 東吾妻町 1万1790人
 嬬恋村 8567人
 高山村 6278人
 草津町 5844人
 長野原町 4918人

 六町村の最終処分場は長野原町内にあり、これから20年はゴミを処分できると言われる深い谷です。谷間の脇を走る国道は、草津温泉と軽井沢を結ぶ観光ルートで、急坂なので警察がよくスピード違反の取り締まりをしています。
 六町村の人口は5万人余りと、都会に比べて少ないですが、多くの観光地を抱える地域なので、季節によって観光客のごみが加わります。
 新施設は川原湯温泉の背後の金鶏山(金花山)の裏手に建設されます。金鶏山には、ダム堤の建設現場に原石を運ぶために3キロ余りのトンネルがつくられています。新施設の供用開始が予定される2030年度以降は、トンネルの出入り口の地名を冠するこの大柏木川原湯トンネルをごみ運搬車が行きかうことになります。
 
 ごみ処分場と言えば、水源汚染が問題視されることがあります。
 長野原町でこれまで懸念されてきたのは、(株)ウィズウェイストジャパン(埼玉県)が1992年以来、最終処分場として地域外の産業廃棄物を運びこんできた草津町内の施設です。この最終処分場は草津町と長野原町の町境の草津町側にあります。草津町では最も標高が低いため問題視されてきませんでしたが、処分場の下にある長野原町の水源を汚染することが懸念されてきました。しかし、草津処分場は間もなく満杯となって埋め立てを終了し、町内のごみをこの処分場で処理してきた草津町も、東吾妻町の新施設と長野原町の最終処分場を利用することになるとのことです。