八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

千葉豪雨、内水氾濫による水害

 酷暑の中、7月の熊本地震に続いて関東平野では集中豪雨による水害が都市住民を襲っています。
 8月13~14日に千葉県を襲った豪雨は、各地で内水氾濫を引き起こし、改めて都市の脆弱性を知らしめることになりました。わが国では、治水対策として外水氾濫を防ぐために堤防を築き、上流の山間部に計画したダム事業に巨額の予算を投じてきましたが、ダムはダムの下流で降る雨にはなすすべがありません。今後の水害を減らすためには、個々の水害の原因を突き止め、きめ細かな対策をとる必要がありますが、ダム行政はこうした作業を無視することで成り立ってきています。
 気候変動による大水害はわが国だけでなく、隣国の韓国や中国でも発生しています。中国ではダム決壊により、水害が拡大しています。

 千葉県在住の研究者、梶原健嗣さんが現場を歩き、個々の水害の原因を突き止めるブログを精力的に発信しています。
 https://note.com/kenji_kajiwara85/all

◆2026年8月19日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD195PP0Z10C26A8000000/
ー[社説]千葉豪雨を教訓に都市型水害に備えをー

 千葉豪雨は都市型水害への備えの難しさを浮き彫りにした。排水が追いつかず、多くの道路が冠水して被害が拡大した。生活圏にもリスクは潜む。台風シーズンを乗り切るためにも一人ひとりが身を守る行動を改めて考えてほしい。

 千葉県は13日夕から14日にかけて線状降水帯が3回発生するなど猛烈な雨に見舞われた。千葉市中央区では24時間降水量が367ミリと観測史上最大となった。死者は関連調査中を含め13人、住宅の浸水被害は約2700棟に及ぶ。冠水した道路で動けなくなった放置車両は約2700台にもなった。

 気象庁は5月開始の新たな防災気象情報で初めて「レベル5大雨特別警報」を千葉市や市原市などに出し、命を守る行動を呼びかけた。ただ河川氾濫や土砂災害への警戒とは異なり、大雨に対する具体的な避難行動が思い浮かばなかった人もいるのではないか。

 排水が追いつかず水があふれ出すことを「内水氾濫」という。都市部では特に備えを心がけたい。一般に下水道が処理できる雨量は1時間50ミリだが、千葉の一部では100ミリ超を記録した。わずかな高低差でも水は集まる。線路や道路の下を通る「アンダーパス」が冠水し、進入した車が動けなくなり犠牲者も出た。

 車は水没時に閉じ込められるリスクがある。水深の見えない所には進入せず、引き返す決断をしてほしい。自治体によっては河川氾濫による洪水とは別に内水氾濫のハザードマップを公表しており、備えの参考になる。残る自治体は作成を急ぎ、住民への周知を徹底する必要がある。

 猛烈な雨は数時間でピークを越すことが多い。帰宅が難しい時は駅や公共施設、職場などでやり過ごすのも選択肢だ。自治体を中心に豪雨時の帰宅困難者の受け入れ体制の整備が求められる。

 今回はいくつかの気象条件が重なって起きた。太平洋上の巨大な風の循環が水蒸気を千葉上空に供給し続けた。西日本の冷たい空気の循環とぶつかって積乱雲が次々と生まれ、線状降水帯となった。条件が変われば他の地域でも豪雨は起きる。

 台風15号が東から西へ「逆走」したようなまれな気象条件が起きている。エルニーニョ現象などの影響で、台風が勢力を強めて日本に接近する可能性もある。気象予報を十分に確認し、危険に近づかない姿勢を心がけたい。

◆2026年8月20日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD172B40X10C26A8000000/
ー千葉豪雨、浸水想定区域外でも被害 排水追いつかず「内水氾濫」ー

 千葉県の豪雨被害は、自治体が作成したハザードマップの想定浸水区域外でも相次いだ。被害拡大の要因とみられるのが、従来予想を上回る雨量に排水が追いつかず水があふれる「内水氾濫」。原因究明とともに、防災対策の見直しが求められる。

 豪雨は13日に発生し、全国で初めて「レベル5大雨特別警報」が発表された。20日の県の集計によると、住宅被害は前日から865棟増え、計3600棟超に。今後調査を本格化させる自治体もあり、さらに増える可能性があるという。

 同県市原市東国吉では60代男性の遺体が見つかり、災害との関係を調べている。内水氾濫による浸水想定区域外だったが、周辺は床上浸水などの被害がみられた。「全くの想定外だった」。同市担当者は打ち明ける。

 内水氾濫は排水能力を超える大雨で用水路やマンホールから水があふれる現象。都市部の下水道は1時間50〜60ミリ程度の降雨への対応を基本としているが、今回は多くの地点で1時間100ミリを超えた。

 京都大学防災研究所の川池健司教授(防災水工学)は「自治体の想定外の区域で被害が多発した可能性がある」と指摘。想定を上回る雨量によって十分に排水できなくなった結果、千葉市や柏市など県内各地で内水氾濫が起きたとの見方を示す。

 千葉市は観測史上最大となる1時間115ミリの雨量を記録した。内水氾濫のハザードマップの想定雨量(153ミリ)の範囲内だったものの、被害は広範囲に及んだ。同市担当者は「検証が必要だが、マップが示していない場所でも冠水が生じた恐れがある」とみる。

 近年は気候変動による影響も背景に大雨の発生頻度が高まっている。気象庁の分析によると、1時間あたり100ミリ以上の猛烈な雨は2016〜25年に年平均約4.4回。統計が残る1976〜85年の同2.2回から倍増した。

 国土交通省の調査によると、2014〜23年の10年間に起きた全国の浸水棟数のうち、内水氾濫は56%で、河川があふれる外水氾濫など(44%)を上回った。
 都市機能の脆弱性を浮き彫りにした今回の千葉豪雨。川池教授は「雨量が想定を上回ったのか、想定されていなかった水の動きがあったのか、まずは原因究明が必要だ」と指摘する。
 今後は得られた教訓を生かし、他の都市部の自治体でも想定雨量を見直すなど対策の見直しが求められると話している。(斎藤美久)

 内水氾濫ハザードマップ、作成は全国で3割どまり
 2021年に改正した水防法は、雨水処理の下水道施設がある自治体に内水氾濫時の浸水想定区域図の作成を義務付けた。これを基に内水氾濫ハザードマップの作成も求めるが、25年度末時点の作成状況は全国で32%にとどまる。

 国土交通省による調査対象は全国の約1100市町村。都道府県別でみると、東京が8割を超える一方、千葉は4割、埼玉は3割未満と地域差があった。大分、山梨はゼロだった。

 背景にあるのは費用や人員の不足。マップ作成には市街地や農地を走る水路など細かなデータの収集が不可欠で、調査の外部委託など費用負担も大きい。

 国は浸水想定区域図を策定した自治体にハード整備などの補助金を優先配分する制度を導入している。だがマップ作成は主に外水用が優先され「内水用は後手に回りやすい」(同省担当者)のが実情という。

 ハザードマップの情報を住民にどう浸透させていくかも課題だ。

 今回の豪雨災害で人的被害が出た千葉県八千代市はホームページなどで内水氾濫向けのハザードマップを公表していた。担当者は「公表して終わりではなく、避難行動につなげられるよう日頃の周知活動をいっそう強化する必要がある」と話す。

▼ハザードマップ 災害の危険性が高い場所を色分けし避難場所などを示した地図。内水氾濫向けのほか、洪水、土砂災害、火山噴火、津波など災害の種類別に状況を示す。不動産売買など経済活動でも参考にされるケースが増えている。
災害への備えを促し、災害発生時の円滑な避難につなげるため、各自治体が改良を重ね地域住民に配布している。マップは国土交通省のポータルサイトでも確認できる。

◆2026年8月21日 FNNプライムオンライン
https://news.yahoo.co.jp/articles/e465dc7464a9066928c32db895bab6d8cca27d7e
ー千葉豪雨被災地で再びゲリラ雷雨…冠水被害も 埼玉にレベル4大雨危険警報発表ー

 千葉県の豪雨災害の被災地で、再びゲリラ雷雨による冠水被害が発生しています。
 レベル3の大雨警報が発表されている香取市では、道路の冠水が相次いで発生しました。

 午後2時45分ごろ、香取市で視界がかすむほどの激しい雨が降り始めました。
 雨どいからは雨水が勢いよく噴き出しています。
 また、住宅街の道路が冠水し、アスファルトの上を雨水が川のように流れていました。

 午後3時ごろに香取市内で撮影された住宅街の映像では、住宅街一帯が茶色い水で冠水し、その中をしぶきを上げ車が走行していました。
 市内では冠水した道路が雨水で波打ち、車が何台も進入を諦めていましたが、車高が高いバスが道路に入ってくると大きな波が周辺で巻き起こりました。
 香取市では別の場所でも道路の冠水が見られました。

 千葉県内では午後2時ごろから1時間に50mm以上の雨をもたらすゲリラ雷雨が香取市などで発生。
 この雨で冠水被害が発生したとみられます。

 冠水被害は隣の茨城・神栖市でも。
 大型トラックが大きな水しぶきを上げて走行。
 さらに市内の別の場所で撮影された映像でも、目の前の道路が冠水。
 車が走行すると雨水が波のように押し寄せ、驚く様子がありました。

 21日午後3時半ごろに撮影された茨城・大子町の観光名所「袋田の滝」。
 この1時間半前には流れ落ちる水量が増していました。

 朝から周辺で降っていたゲリラ雷雨の影響とみられています。
 普段は穏やかな水量がゲリラ雷雨によって一変しました。
 ゲリラ雷雨は21日午前中から発生。

 石川・輪島市輪島では、午前6時27分までの1時間に74.0mmの非常に激しい雨が降りました。
 これは8月の観測史上1位となる記録的な雨です。
 横殴りの雨が波打つように激しく降りつけていました。

 午前9時45分ごろ、茨城・大子町では激しい雨が屋根に激しく降り、背景の木々が白くかすんでしまっていました。
 午前10時前には、長野・豊野町で視界が悪くなるほどの横殴りの雨が降り、道路を走る車もスピードを落としていました。

 同じころ、ゲリラ雷雨は福島県でも。
 屋根に打ち付けた雨は真っ白なしぶきとなり、地面では雨水がカーテンのように降りつけていました。

 はね返る雨で地面が白くかすむほど強い雨に見舞われたのは長野市です。
 屋根から雨どいへ流れ込んだ雨水が、あふれるように勢いよく落ちていました。

 長野市内の一級河川「浅川」の支流では、このゲリラ雷雨で川が増水し、濁流となっていました。
 長野・高山村笠岳では、午前11時6分までの1時間に43.0mmの雨を観測。
 同じころ、須坂市でも激しい雨に見舞われ、アスファルトの上を雨水が流れ落ちていました。

 午後になると雨は茨城・土浦市でも。
 排水が追い付かなかったのでしょうか、排水溝から水が勢いよく噴き出していました。
 土浦市土浦では午後2時20分までの3時間に45.0mmを観測しました。

 午後1時ごろ、雨は埼玉県内でも強く降り始めました。
 午後1時半ごろ、埼玉・飯能市は非常に強い雨が降り始めていました。

 ゲリラ雷雨は三郷市でも。
 大粒の雨が強く降りつけていました。
 その後、草加市も雨に見舞われ、大粒の雨が降りつけ、ちょうちんが揺れていました。
 埼玉県では上尾市にレベル4の大雨危険警報が発表されるなど、各地で激しい雨となっています。

 一方で、来週は台風18号が沖縄や奄美を直撃する恐れがあります。
 台風18号は23日(日)に非常に強い勢力に発達。
 26日(水)ごろに勢力があまり衰えないまま沖縄や奄美を直撃する恐れがあり、今後の進路に注意が必要です。

◆2026年8月17日 BBC
https://www.bbc.com/japanese/articles/c74gkj7zn18o
ー韓国南東部で記録的豪雨、土砂崩れで1人死亡ー

 韓国南東部・慶尚南道で17日朝、先週末から続いた豪雨の影響で土砂崩れが発生し、1人が死亡、2人が負傷した。
 土砂崩れは慶尚南道巨済市で起きた。集合住宅の1階部分が土砂に埋もれ、地元メディアによると、救助隊に助け出された3人のうち1人の死亡が確認された。

 今回の記録的大雨は、相次ぐ暴風雨によって引き起こされた。中国、日本、フィリピンの一部地域でも、洪水や土砂崩れが起きている。
 巨済市では、1時間に124.5ミリの雨が観測された。これは韓国気象庁が1972年に同市の記録を取り始めて以来、最多の1時間降雨量となった。
 また、巨済市では16日から17日にかけての一晩で、400ミリを超える雨が降った。

 ソーシャルメディアに投稿された複数動画には、巨済市で道路に勢いよく水が流れ込み、複数の車が水没している様子が映っている。
 市当局は、この大雨の影響で、17日に一部の観光地を閉鎖すると発表した。
 当局によると、道路の冠水や損傷のため、バスの運行や家庭ごみの収集も停止されている。
 16日には、当局が住民に対し、車の運転を控え、川岸などに近づかないよう呼びかけるとともに、必要に応じて安全な場所へ避難するよう促した。

 今月、東アジアおよび東南アジアの広い範囲を暴風雨が襲い、各地で洪水が発生し、インフラが被害を受けている。
 6月から発生している強力なエルニーニョ現象により、今年の台風シーズンは通常より風雨が激しくなると予想されている。エルニーニョ現象は世界の気温を押し上げ、台風の勢いを強めるとされる。

 日本では、千葉県内で13日から14日未明にかけて、レベル5の大雨特別警報が発表された。成田空港では数千人が足止めされた。この豪雨で10人が死亡した。
 また、千葉県内で2万軒以上が停電に見舞われた。
 千葉県は16日、千葉市の30代の男性の死亡が確認され、県内の死者が10人になったと発表した。県によると、この男性の死因は一酸化炭素中毒。自宅が停電して発電機を使った可能性があるという。

◆2026年8月21日 NHK
https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20260821de45594
ー中国 南部の大規模洪水で死者159人に 各地で大雨被害ー

 中国南部で7月に発生した、台風の影響による大規模な洪水などの被害について、国営メディアは、広西チワン族自治区の死者の数が大幅に増え、合わせて159人になったと伝えています。

 中国南部では7月上旬、台風10号などの影響で大雨や暴風の被害が相次ぎ、このうち広西チワン族自治区ではダムが決壊し、大規模な洪水が発生するなどしました。

 地元当局は、7月9日時点で39人が死亡したと発表していましたが、国営の中国中央テレビによりますと、8月21日までに確認された死者の数が大幅に増え、合わせて159人になったと伝えました。

 また、洪水などの被災者は165万人以上にのぼるということです。

 中国では、このほかにも7月は大雨による被害が各地で相次ぎ、内陸部・甘粛省で短時間の大雨による土砂災害が発生し、25人が死亡しています。

 各地で災害が相次ぐなか、習近平国家主席は、防災を徹底しリスクや危険な場所を点検・是正するよう求める重要指示を出しています。