八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

12/21東京高裁で八ッ場ダム控訴審

2012年12月17日

 八ッ場ダムをストップさせる東京の会より、東京高裁で開かれる八ッ場ダム控訴審のお知らせです。

◆12月21日(金)13:30より、東京高裁1階 101大法廷

 傍聴券が配布されますので、1時頃までに裁判所入口にお集まり下さい。

 西島弁護士による裁判の解説を、東京の会ニュース32号より転載させて頂きます(下記)。

 東京高裁での審理、12月21日に終結の見通し  弁護士 西島和

1 忌避申立は認められず
 今年8月7日に行われた嶋津暉之さんと関良基さんの証人尋問の後、東京高裁第5民事部(大竹たかし裁判長)は、住民側が申請していた7名の証人について、採用しないと決定しました。この7名の証人は、東京都の水需要予測や保有水源の評価が著しく不適切であること、また、八ッ場ダムの根拠となる治水計画の目標流量が著しく過大であること等をより明らかにするための重要な証人でした。そこで、弁護団は、大竹裁判官らが証人を採用しなかったことは、裁判所が公正さを欠くことのあらわれであると考え、証人を採用しないと決定した大竹裁判官らを、本件の審理から除外することを求める「忌避」の申立をしました。

 しかし、忌避申立は8月16日に東京高裁で棄却され、この棄却決定に対する最高裁への特別抗告も、11月14日に棄却されました。
 大竹裁判官らは、弁護団が特別抗告の申立を行った翌日に、「次回期日を10月中にもちたい」との意向を、弁護団に伝えてきました。弁護団は、最高裁の決定がでないうちに、大竹裁判官らと裁判の進行について協議することはしたくないと考え、大竹裁判官らに「最高裁の決定がでるまで待ってほしい」と伝えました。しかし、大竹裁判官らは「最高裁の決定まで待てない。次回期日の協議ができないのであれば、弁護団の意見を聞かずに次回期日を指定する」との意向をしめしたことから、やむを得ず、次回期日について協議した結果、次回期日を12月21日とすることとなりました。
 最高裁判所への特別抗告には、審理を中断させる効力がないので、大竹裁判官らのような対応は違法ではありません。しかし、裁判官が、「最高裁の決定によっては、この裁判から外れなければならないかもしれない」という状況で、裁判をすすめようとする姿勢には、疑問を感じる方が多いのではないでしょうか。忌避申立は、「公正な裁判」が保障されるための制度ですが、今回の大竹裁判官らの対応をみると、その運用は形骸化しているようにも思えます。

2 12月21日、最後の弁論
 大竹裁判長は、住民側が申請していた7名の証人についてすべて採用しないこととし、東京都側は証人尋問を求めていませんので、次回12月21日は、東京高裁での最後の弁論となる見通しです。この最後の弁論では、8年間の住民側の主張のまとめを示すとともに、政治による行政のチェックがまったく機能していない状況で、裁判所による行政のチェックが厳しく行われなければならないことを、裁判所に自覚してもらえるような弁論を行いたいと考えています。ぜひ傍聴にお越し下さい。弁護団一同、法廷でお待ちしております。