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倉渕ダムと戸倉ダム計画復活を方向づけた国交省有識者会議の資料

 利根川水系の倉渕ダムと戸倉ダムの計画は、20年以上前に事業者(群馬県と国)が八ッ場ダムの事業費増額(2110億円→4600億円、その後5320億円へ再増額)と同時期に不要になったとして中止を決定し、その後、正式な中止手続きが取られましたが、今年になって復活が明らかになりました。
 中止ダムの復活を方向づけたのは、利根川水系を管轄する国土交通省関東地方整備局が事務局を務める有識者会議(利根川水系における治水計画検討委員会)でした。会議の資料が同局のホームページに掲載されています。2025年11月16日に始まった委員会は、今年3月18日まで5回開かれており、オブザーバーとして利根川流域都県の担当者が参加し、国の方針に賛同しています。
 
「利根川水系における治水計画検討委員会」
 https://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/index00000086.html

 委員名簿 〇委員長
  伊藤 司 群馬大学大学院理工学府准教授
 〇清水 義彦 群馬大学名誉教授 国立研究開発法人土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター研究・研修指導監
  関 健志 日本生態系協会専務理事
  手塚 広一郎 日本大学経済学部教授
  手計 太一 中央大学理工学部教授
  二瓶 泰雄 東京理科大学創域理工学部社会基盤工学科教授
  乃田 啓吾 東京大学 大学院農学生命科学研究科准教授
  古谷 愛子 特定非営利活動法人 オリザネット事務局⻑

 倉渕ダムと戸倉ダムについては、上記の第三回会議資料の6「八斗島上流域における洪水調節機能強化について」において、「中止ダム予定地の活用」の中で取り上げられています。(P15~18)

P15=中止ダム位置図(国・水資源機構・群馬県)
   八斗島上流域には、過去に中止となった7つのダム事業があり、この予定地について活用を検討する。
 

P16=倉渕ダムは、利根川支川烏川に、群馬県により計画された、洪水調節、流水の正常な機能の維持、水道用水を目的とした重力式コンクリートダムである。平成2年度から建設事業に着手していたが、平成15年度より事業休止、平成27年度には事業中止を発表した。

P17=戸倉ダムは、利根川支川片品川に計画された、洪水調節、流水の正常な機能の維持、水道用水、渇水対策を目的とした重力式コンクリートダムである。平成4年度から建設事業に着手していたが、平成15年度に事業中止を発表した。

 資料の22ページ~では、同じく利根川水系の下久保ダムの利水容量を倉渕ダムなどに振り替える案が検討されています。
 下久保ダムは1969年から運用を開始した神流川のダムです。群馬・埼玉の県境を流れる神流川は、川筋が近い烏川と合流してから利根川に合流することもあるからか、国土交通省の治水関連の資料では併せて「烏川・神流川流域」と呼んでいることもあります。
 (独)水資源機構が運用する下久保ダムは、もともと治水(洪水調節)よりむしろ利水目的目的を主体としたダムで、具体的には東京都・埼玉県の都市用水と発電を担っています。けれども、利根川上流ダムの中で比較的関東平野に近い下久保ダムは治水効果が高いことから、国土交通省関東地方整備局は下久保ダムの利水容量を他のダムに振り替え、治水容量を増やすことを検討してきました。

◆資料23、25~27ページ

 議事録より
 7~8ページ
 「続きまして、群馬県で事業を実施していた倉渕ダムでございますけども、こちら、昭和59年から実施計画調査に着手し、平成2年度に建設に移行したダムでございます。こちら現地視察でお話がありましたけども、利水予定者が代替水源による水利権の取得が可能な状況となったことから、群馬県の公共事業再評価審議
委員会の審議を経て、平成27年度に事業の中止が発表されたダムでございます。こちらのダムの特徴といたしましては、下の諸元の一覧の中で進捗率を掲載させていただいております。進捗といたしましては、用地買収と付替道路が既に済んでいるといった特徴がございまして、一定の進捗が図られていたダムであるといった状況でございます。」

 「こちらは水資源機構で実施していたダム事業です。まず、戸倉ダムでございますけれども、昭和57年から実施計画調査を実施しており、平成4年度から建設に着手
しているダムでございます。こちらのダムに関しましては、当時、全ての新規利水予定者から、事業から撤退するといった意向が示されたことから、事業評価監視委員会の審議を経て、平成15年度に事業の中止を決定したダムでございます。こちらのダムも、先ほどの倉渕ダムと同様に、進捗率をご確認いただければと思いますけれも、用地と付替道路は一部進んでおり、こちらも現地状況は一部進捗が図られていたダムといった特徴がございます。」

 「倉渕ダムと戸倉ダムにつきましては、当時、一定の進捗が図られていたといったところもございまして、工期が比較的短く、仮に建設に着手した場合は、比較的短く工期が収められることを確認しております。一方で、どのダムも周辺に補償家屋はないのですけども、技術的困難性でしたり、社会的な影響、環境への影響については、改めて確認が必要であると考えているところでございます。」


 今年3月に開かれた第五回委員会資料には、利根川流域都県の意見が掲載されています。六都県すべてが国土交通省の方針に賛同していることがわかります。

第5回 利根川水系における治水計画検討委員会(計画段階評価を含む)(令和8年3月18日)
 利根川上流部における治水対策計画段階評価より22ページ
 

◆関連ページ
 〇「倉渕ダムの集会、記録ビデオと記事」(2026年7月22日)
 〇「倉渕、戸倉ダム再開検討」(上毛新聞社説)(2026年6月11日)
 〇「中止した倉渕ダムと戸倉ダム、再開めざして国交省が調査着手(2026年4月24日)
 〇「20年以上前に中止された戸倉ダムと倉渕ダムの事業計画の復活」(2026年3月26日)