東京都が民間への下水道運営権売却を検討

 日経新聞の報道によれば、東京都が下水道運営権の民間への売却を検討し、政府は地方自治体が運営する公共インフラの民間への売却を促すためPFI(民間資金を活用した社会資本整備)法を改正するとのことです。

 下水道運営権を売却すれば、外資等の民間にとっておいしい商売になるかもしれませんが、民営化すれば経営基盤が安定化するという理屈は理解できません。
 東京都下水道の経済規模は、23区部と多摩地域を合わせて、毎年度の維持管理が約1000億円、建設改良が約2000億円にもなります。都の官僚機構を中心とする一大業界がつくられており、民営化が簡単に進むとは考えられません。支持率が急落した小池百合子都知事の打上げ花火であるようにも思います。

◆2017年12月27日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25108280W7A221C1L83000/
ー民間への下水道運営権売却、東京都が検討ー

 下水道のコンセッションは26日の都政改革本部(本部長・小池百合子知事)の会議で検討課題として報告した。
今後、老朽化した施設の更新などで事業費が膨らむ一方、人口減少で収入は落ち込む見通し。施設の維持管理など個別業務の委託にとどまらず、幅広く民間のノウハウを取り入れて経営基盤を安定させたい考えだ。

 下水道は公共インフラとして確実に維持する必要があるため、下水道法の規定で完全民営化はできない。このため都はコンセッションや包括委託などの形式を想定。2018~19年に民間事業者の意向調査などを進め、20~21年ごろから本格的な検討、試行に入る。

 下水道分野のコンセッションは浜松市が先行して取り組んでいる。小池知事は都内でも予想される人口減に言及して「コンセッションを真剣に考えてほしい」と話した。

◆2018年1月4日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25291440T00C18A1MM8000/
ー公共インフラの民間売却容易に 自治体の負担軽くー

 政府は地方自治体が運営する公共インフラの民間への売却を促すためPFI(民間資金を活用した社会資本整備)法を改正する。上下水道や公共施設の運営権を売却する際、地方議会の議決を不要にし、国から借りたお金を前倒しで返すことも認める。公共インフラの老朽化が進む中、民間の資金を使った低コストの運営に転換し、公共料金の引き下げも視野に入れる。

 政府は2017年にPFIを推進する行動計画を改定し、インフラの売却額や投資額などの合計を13年度から22年度の10年間で21兆円にする目標を掲げた。例えば水道事業を巡っては、浜松市の下水道が18年度から20年間、民間運営される予定。事業規模は年20億円程度で、収支次第では利用料が下がる可能性もあるという。

 耐用年数を迎える公共インフラは増える見通しだ。国土交通省は補修の目安とする建設から50年以上の下水道が全体に占める割合が、11年度の2%から21年度に7%、31年度に23%に増えると試算する。上下水道などのインフラの維持費は、13年度の3.6兆円から23年度に最大で5.1兆円に膨らむと見込む。

 15年度までのPFIの実績は関西国際空港や仙台空港の売却など大型事業で9.1兆円。空港と比べて上下水道は売却があまり進んでいない。狙い通り進まない背景には、手続きの面倒さや自治体が見込む利点の乏しさなどがある。

 政府は自治体の売却手続きや財政負担を軽くするPFI法改正案を22日召集の通常国会に提出し、早期の成立・施行をめざす。

 いまは案件ごとに議会の議決が必要だが、自治体が条例を定めれば、議決を不要にする。数カ月から年単位で時間がかかる場合があるためだ。

 運営権を取得した企業が利用料金を設定しやすいようにもする。いまは所有する自治体の承認が必要だが、届け出るだけで済むように改める。民間のより自由な運営を促し、サービスの効率化や質の向上につなげる。

 企業や自治体への国の支援も強める。首相をトップとする相談窓口を設け、支援措置や規制の内容を助言する。運営状況の報告を受け、全国のインフラの民間開放の情報をまとめる。職員が少ない自治体などは窓口の機能が手薄な現状を改善する。

 さらに自治体が運営権を売却する際にかかる財政負担を軽くする。国から借りた運営資金を前倒しして返すことを認める。その際、本来は国の利息収入の減少を補うために必要となる補償金の支払いを特例で減免する。全国の自治体が水道事業で国から借りた資金の1~2割が減免対象に当たるとみられる。

 インフラの運営権の民間売却は欧州の先進国で進む。内閣府などの調査によると、フランスは上水道の6割、下水道の5割を民間が運営する。スペインは上水道の5割、下水道の6割を民間が運営し、行政コストの軽減につなげているという。