八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

「西日本豪雨で明らかになったダムの限界と危険性」(嶋津暉之さん)

 水問題の専門家、嶋津暉之さんによる9月7日の講演スライドの第三部をご紹介します。
 第一部、二部はこちらのページで紹介しています。
     ⇒西日本豪雨災害のスライド「岡山県・高梁川水系の氾濫」他
  
 以下のタイトルをクリックすると、全スライドが表示されます。

3.西日本豪雨で明らかになったダムの限界と危険性(6.25MB)

〇ダムは計画の範囲内の洪水に対して一定の調節効果が得られるが、計画を超えた洪水に対しては洪水調節機能を喪失する。
〇ダム下流の河道はダムの洪水調節効果を前提とした流下能力しか確保されていないので、洪水調節機能の喪失で氾濫必至の状況になる。
〇しかも、ダムは洪水調節機能を失うと、放流量を急激に増やすため、ダム下流の住民に対して避難する時間をも奪ってしまう。

 西日本豪雨では、治水目的を持つ、いくつかのダムが満水になって、洪水調節機能を失った。
 ・愛媛県 肱川の野村ダムと鹿野川ダム
 ・京都府 桂川の日吉ダム
 ・岡山県 高梁川の河本ダム
 ・広島県 野呂川の野呂川ダム

 上記のうち、愛媛県・肱川のケースを解説したスライドの中から、抜粋して以下に表示します。
 7月7日の豪雨では、野村ダムと鹿野川ダムが短時間で満水になり、大量放流を行った結果、肱川の氾濫によって8名の方が亡くなりました。
 肱川水系では、ダムによる治水効果を前提とした河川整備計画がつくられ、河道整備は後回しにされてきました。国は野村ダムと鹿野川ダムに加え、さらにもう一基の巨大ダムを肱川水系に建設するため、山鳥坂ダム事業を進めています。
 水害発生後、国交省四国地方整備局は、ダムの操作や緊急放流を流域住民に伝える方法等について、検証委員会を設置して検討することになっていますが、国の河川整備計画を抜本的に改めない限り、肱川水系の安心安全を確保することは不可能です。
 今回の水害で明らかになった、ダムの限界と危険性を明快に解説したこのスライドを、多くの方にご覧いただきたいと思います。