JR東日本2017年度データ公表、川原湯温泉駅一日平均乗車人数22人
JR東日本が2017年度の一日平均乗車人数の統計を公表したことを地元紙が伝えています。
記事が取り上げている統計はJR東日本のサイトに掲載されています。
http://www.jreast.co.jp/passenger/
ネット上には紙面記事の前半のみが掲載されていますが、掲載されていない後半に、群馬県内で一日平均乗車人数が最も少ない駅として、八ッ場ダム予定地の川原湯温泉駅が取り上げられています。
川原湯温泉駅に停車する普通列車
上記の統計を見ると、最後のページ（9ページ）に川原湯温泉駅の名称があり、統計を取ることのできない無人駅を除いたJR東日本の駅の中で、一日平均乗車人数が下から11番目であることがわかります。川原湯温泉駅と並んでいる下位の駅名は、東日本大震災の被災地など、沿線の生活環境が著しく厳しい所にある駅が多く、関東地方の駅は他にありません。
実際、以下の記事にも書かれているように、群馬県内で川原湯温泉駅の次に一日平均乗車人数が少ない横川駅（1997年、長野新幹線の開通により、信越本線の終着駅となった）は217人と、川原湯温泉駅の10倍近くの人数です。
川原湯温泉駅の一日平均乗車人数の推移
多くの観光客に親しまれた川原湯温泉駅の利用者数がこの間、減少の一途を辿ってきた原因は、言うまでもなく八ッ場ダム事業です。国交省による無料・特典付きの本体工事見学会には大型バスの団体客やマイカーが沢山集まって盛況なのですが、本来の観光地である川原湯温泉は賑わいから取り残されています。
水没予定地にあった川原湯温泉駅は、2014年10月に水没線より標高の高い現在地に移転しました。元の駅は川原湯温泉街にも名勝・吾妻峡にも数分で行かれる交通至便な駅でしたが、現在の駅は川原湯温泉の移転代替地まで徒歩20分かかり、名勝・吾妻峡へは二つのトンネルを通って1時間はかかりますので、温泉駅から吾妻峡を訪ねる人はほとんどいません。
川原湯温泉駅は2017年3月まで上野発特急草津の停車駅でしたが、3月のダイヤ改正で普通列車のみの停車駅となりました。駅開業以来、駅舎周辺は工事現場に取り囲まれていますが、駅の前の道路はまだ開通していません。
◆2018年9月18日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/politics/80039
ー９万6000人 00年以降で最多 県内ＪＲ駅の１日平均乗車数ー
群馬県内ＪＲ駅の2017年度１日平均乗車人数の総計（無人駅などを除く）は前年度比2.0％増の９万6163人となり、00年度以降で最も多かったことがＪＲ東日本のまとめで分かった。駅前に大型商業施設が進出した高崎が1000人超増えてけん引した形で、都市部を中心に増加が目立った。ただ、人口減少に伴う鉄道利用の縮小が見込まれるとして、ＪＲ東日本高崎支社は先行きを警戒している。
ＪＲ東のデータを基に上毛新聞が集計した。17年度分として公表された県内32駅のうち、１日平均乗車人数が最多の高崎は３万1012人（3.5％増）で、00年度以降で初の３万人台。駅周辺で昨年、大規模大会に対応する体育館「高崎アリーナ」が４月に開館し、大型商業施設「高崎オーパ」が10月に開業したことなどが後押ししたとみられる。乗車人数は前橋１万0490人（1.3％増）、新前橋6155人（1.7％増）、伊勢崎5987人（2.8％増）―と続いた。
伸び率は高い順に高崎問屋町（3710人）5.6％増、群馬八幡（1156人）5.5％増、北陸新幹線の安中榛名（290人）5.1％増などだった。
一方、乗車人数が最も少ない川原湯温泉は22人（18.5％減）で、八ッ場ダム建設に伴う駅舎移転後も厳しい状況が続く。次いで、横川は217人（2.3％減）、西松井田が263人（4.7％減）だった。後閑が3.3％減、中之条が2.6％減となるなど、中山間地の駅で減少率の落ち込みが目立っている。
県内総計の推移をみると、04年度に9万人割れし、東日本大震災直後の11年度は8万8665人と最低だったが、12年度以降は9万人を超えて増加基調にある。
17年度の状況について、高崎支社は明確な理由は不明としながら、「景気の動向や、駅周辺の開発が影響したのかもしれない。今後は人口減少や働き方の変化を受けて、鉄道のニーズの減少が懸念されており、楽観はできない場合は」と受け止めている。
高齢化社会を見据え、県は20年度までに、鉄道の利用促進策をまとめた実行計画をJRや私鉄各路線ごとに策定する方針だ。
—転載終わり—
写真＝川原湯温泉駅の構内からは、駅前の道路建設現場が見える。
〈参考記事〉
「吾妻線新線切り替えと八ッ場大橋開通のかげで」
https://yamba-net.org/wp/8926/