八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

岡山県真備町、西日本豪雨の被災住民が国など相手に集団訴訟

 2018年7月の西日本豪雨では、岡山県高梁川水系の小田川が氾濫し、倉敷市真備町の住民約50名が亡くなりました。
 この水害について、真備町の住民が4月15日に国などを相手に損害賠償を求めて岡山地裁に提訴することが報道されています。
 西日本豪雨では愛媛県・肱川の野村ダムと鹿野川ダムの緊急放流により、ダム下流で凄まじい氾濫となり、8人が亡くなりました。肱川の水害被災者は、今年1月31日に国などを相手に損害賠償を求め、松山地裁に提訴しています。

◆2020年4月5日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20200405/k00/00m/040/031000c
ー「真備の被害は人災」 西日本豪雨の被災者ら40人が決起集会 15日提訴ー

 2018年7月の西日本豪雨災害を巡って国や岡山県、倉敷市、中国電力の責任を問い、損害賠償を請求する真備水害訴訟が15日に岡山地裁に提訴される。弁護団と被災者ら40人が4日、提訴に向けた決起集会を、甚大な浸水被害が発生した同市真備町地区で開いた。

 集会では弁護団による訴訟の説明などがあった。第1次提訴には16世帯32人が参加し、損害賠償の請求額は総額約6億6000万円になる見通し。豪雨から2年の7月には第2次提訴を予定している。

 裁判では、ダムの事前放流や陸こうの封鎖、河道掘削など適切な河川管理が行われず、避難誘導が適切に実行されなかったことなどから水害が発生し、被害が拡大したと主張する。

 この日は磯部作・元日本福祉大学教授(地理学)による講演もあり、水害前後の新成羽川ダムの放流に関する自身の研究について説明した。

 集会に参加した30代の男性は、自宅の1階が浸水して4カ月間の避難生活を余儀なくされたという。「できることをせずに水害が起きたのなら納得がいかない。天気のことだからしょうがないで済ませていたらまた同じことが起きる」と訴えた。

 金馬健二弁護団長は「真備の被害は手当てしていれば防げた可能性が高く、人災と言わざるをえない。この訴訟で二度と水害を起こさないよう追及していきたい」と話した。【戸田紗友莉】

◆2020年4月5日 朝日新聞岡山版
https://digital.asahi.com/articles/ASN4475V5N44PPZB008.html
ー豪雨被害は「人災」 真備住民が国など提訴へー

  西日本豪雨から1年9カ月。大規模浸水した倉敷市真備町地区の住民が、住宅被害などの損害賠償を求めて岡山地裁に提訴することになった。4日に真備町であった決起集会では、被害は「人災」だとして国や県、市、中国電力の責任を問う方針を確認。弁護団長の金馬健二弁護士に訴訟の意義を聞いた。

 真備町地区では約1200ヘクタールが浸水し、約4600棟が全壊しました。高梁川上流にある新成羽川ダムで十分な量の事前放流がされず、高梁川と小田川の合流地点の付け替え工事も先延ばしになっていた。手当てがなされていれば、被害は相当防げたのではないか。

 なぜ水害が起きたか。研究者らの検証がされても、対策に生かされなければ、また同様の災害が起こる可能性があります。責任の所在を突き詰めていかなければいけません。

 災害の経験を教訓として生かしていくことが、この訴訟の意義だと思います。

 西日本豪雨以降も、各地で様々な災害が起きた。真備地区での教訓を元に、各地で避難態勢を組んだり、問題点を改善したりする必要が出てきている。この訴訟を通じ、今後も起こる災害の被害を未然に食い止めることにつなげたい。同時に、被災者の損害を少しでも回復させたい。

 真備町地区では51人もの死者(災害関連死を除く)が出た。命からがらボートやヘリで救助された人もいる。なのに、「異常気象で予測できなかった」でこの災害を終わらせてはならない。

 7月をめどに追加提訴を考えています。被災者のみなさんは、それほど経済的余裕があるわけでないと分かっていますが、一人でも多くの参加を求めたい。(華野優気)

◆2020年4月4日 山陽新聞
https://www.sanyonews.jp/article/1000687/
ー豪雨、国などに6.6億円請求へ 真備住民30人超、15日に提訴ー

 2018年7月の西日本豪雨で小田川と支流が決壊し、甚大な浸水被害を受けたのは河川やダムの管理が不十分だったためとして、倉敷市真備町地区の住民が国などを相手に損害賠償を求めて岡山地裁に提訴予定の集団訴訟は、原告として参加する住民が少なくとも16世帯32人、請求額は総額約6億6千万円に上ることが、4日分かった。15日に提訴する。

 「真備水害訴訟弁護団」がこの日開いた住民集会で明らかにした。他に相当数の住民が訴訟への参加を検討しており、豪雨後2年となる7月に2次提訴を予定している。

 住民ら約20人が参加した集会で、弁護団長の金馬健二弁護士(岡山弁護士会)らが「豪雨被害は自治体などが十分な備えをしていれば防げた『人災』だ」と強調。約50年前から計画されていた小田川付け替え工事の遅れ▽豪雨時に新成羽川ダムの事前放流を行わなかった過失▽住民への避難指示の遅延―などを巡り、国、岡山県、倉敷市、中国電力(広島市)の責任を追及していくと述べた。

 豪雨で自宅が全壊し、訴訟に参加する男性(68)は「同様の災害が起こらないようにするため、訴訟を通じて警鐘を鳴らしたい」と話した。

◆2020年4月4日 NHK岡山放送局
https://www.nhk.or.jp/lnews/okayama/20200404/4020005136.html
ー真備町一部住民が提訴へ決起集会ー

 おととしの西日本豪雨をめぐって倉敷市真備町の一部の住民が、国や県などの対応の不備が甚大な被害につながったとして、損害賠償を求める裁判を起こすことになり、提訴を前に決起集会が開かれました。

 真備町の公民館で開かれた集会には、原告になる予定の住民や弁護士のほか、参加を検討している住民などおよそ30人が集まり、はじめに参加者全員で豪雨の犠牲者に黙とうしました。
そして、弁護団の団長を務める金馬健二弁護士が「行政などが真摯に対応していれば避けられた人災だと考えている」と述べました。
 集会では、上流のダムで豪雨の前に放流し下流に流れる水を減らす「事前放流」が行われなかった、川の治水対策の工事が先送りされていた、さらに避難指示が遅れたなどとして、こうした結果、甚大な被害につながったと裁判で主張する方針を確認しました。
 弁護団によりますと、今月15日に国と岡山県、倉敷市、それに上流のダムを管理する中国電力に損害賠償を求め提訴する予定だということです。
 自宅が全壊する被害を受け、原告になるかどうか検討している70代の男性は「行政などの管理ミスに不満があるので住民が団結していきたい」と話していました。