八ッ場ダム問題に取り組んできた当会では、国政選挙の際、八ッ場ダムに関する各政党の見解を有権者にお知らせするため、公開アンケートを実施してきました。
 このたびも総選挙を前に、10月10日に主要8政党の本部に公開アンケートを送付し、回答〆切日の昨日(18日)までに、以下の5政党(到着順)より回答をファックスでお送りいただきました。選挙戦のお忙し中、公開アンケートにご協力いただき、御礼申し上げます。

社会民主党、日本共産党、立憲民主党、希望の党、日本維新の会

 無回答は以下の3政党でした。
自由民主党、公明党、日本のこころ

 多くの環境問題、大型公共事業の問題とともに、2009年前後に政局ネタとなった八ッ場ダム問題は、ほとんど報道されなくなっていますが、八ッ場ダム事業が抱える問題は未解決のまま先送りにされており、将来にわたって大きな政策課題であることに変わりありません。
 今回の回答結果は、地道な政策課題にどのように取り組むのか、各政党の姿勢を示すものとなっており、有権者の判断に役立つものと思われます。

・この間、公開アンケートに毎回回答してきた社会民主党、日本共産党は、一貫して八ッ場ダムに問題があるという見解での回答でした。

・新党としてこのほど立ち上げられた立憲民主党は、全体として八ッ場ダム事業に問題があるという見解でした。民主・民進党の議員の多くは今回の選挙で希望の党と立憲民主党に所属が分かれましたが、民主党時代以来、八ッ場ダム問題に取り組んできた議員の多くが立憲民主党に加わったことが影響していると考えられます。

・同じく新党の希望の党は、5問すべてで「今後検討していきたい。」と説明しており、八ッ場ダムについての見解がはっきりしませんでした。
 
日本維新の会からは今回、初めて回答がありました。八ッ場ダムは必要であるという見解でした。

自由民主党は、前回の総選挙までは回答がありましたが、今回は回答がありませんでした。今回の総選挙でも、ダム予定地を抱える群馬五区では、自民党前職の小渕優子候補が「八ッ場ダムの早期完成」を公約に掲げています。

・ 公明党2010年参院選までは公開アンケートに回答していましたが、2012年総選挙以降、回答がありません。
 

(参照)八ッ場ダムに関する公開アンケートに対する各政党の回答結果
2009年 総選挙 
2012年 総選挙
2014年 総選挙 

 公開アンケートの質問と回答を以下にまとめました。
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1. 今年は八ッ場ダムの構想が初めて発表された1952年から65年目になります。1935年に国の名勝に指定された景勝地、吾妻峡では、2015年より八ッ場ダムの本体工事が始まっています。
 八ッ場ダム事業によるこの環境破壊について、どのように思われますか?

ア ダム事業の中で環境保全の対策を取っており、問題ない。  
イ 取り返しのつかない環境破壊であり、問題がある。
ウ その他

社会民主党 イ
日本共産党 イ
立憲民主党 イ 正式な環境アセスを経ずして進められている事業であり、検証が必要。
希望の党 ウ 今後検討していきたい。
日本維新の会 ア

2. 八ッ場ダム事業の主目的は「治水(利根川の洪水調節)」と「利水(水道・工業用水の開発)」です。しかし、八ッ場ダムによる治水効果は下流ではかなり小さいという批判があり、また、八ッ場ダムによる開発水を供給することになっている東京都、埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県では、節水機器の普及や漏水防止対策等により、水道、工業用水道の給水量が年々減少しています。
 八ッ場ダムは必要と考えますか?

ア  必要である。
イ  不要である。
ウ  その他

社会民主党 イ
日本共産党 イ
立憲民主党 イ 緊急性・必要性のない不合理な計画であると認識している。
希望の党 ウ 今後検討していきたい。
日本維新の会 ア

3. わが国では、ダムの犠牲になるダム予定地域の振興や水没住民の生活再建のための法整備が進められてきました。八ッ場ダム事業では総事業費の実に9割以上が付替道路や付替鉄道などの「生活再建関連事業」に充てられています。しかし、水没予定地区では、ダム事業の進行に伴い、人口が激減し、地域経済の核であった川原湯温泉もかつての賑わいを取り戻すのが難しい状況にあります。
 八ッ場ダム事業による生活再建、地域振興についてのご見解をお示し下さい。

ア  八ッ場ダム事業による生活再建関連事業とダム完成後のダム湖観光により、地域振興、生活再建は可能である。
イ  八ッ場ダム事業による地域社会の減退、生活への影響は深刻であり、ダム事業による真の生活再建は困難である。
ウ  その他

社会民主党 イ
日本共産党 イ
立憲民主党 イ ダム計画の強行による地域社会の衰退は深刻である。周辺地域の振興と生活再建支援にはダムに頼らない新たな思考策と生活支援を行う必要があると認識しており、今後、地域からの声と調査を行い検討する。
希望の党  ウ 今後検討していきたい。
日本維新の会 ア

4. 昨年、国交省関東地方整備局は八ッ場ダム基本計画の5度目の変更を行い、事業費を4600億円から5320億円へと、再び増額しました。増額の要因の一つとして、ダム湛水域周辺の地すべり対策と代替地の安全対策があります。
変更前の八ッ場ダム計画では地すべり対策費はわずか6億円弱でしたが、災害誘発の危険性を指摘する声が寄せられたので、今回の計画変更で代替地の安全対策も含めて対策費は約140億円に増額されました。
しかし、2011年のダム検証で対策が必要とされていた川原湯地区の上湯原など、5か所が対象から外されており、地元住民は不安を抱えています。
昨年の計画変更による地すべり対策、代替地の安全対策について、どのように考えますか?
ア 昨年の計画変更に問題はない。
イ ダム湛水域周辺の住民の安全を確保するためには、昨年の計画変更による対策では足りず、さらなる増額が必要となる可能性が高い。
ウ その他

社会民主党 イ
日本共産党 イ
立憲民主党 イ 今後、検証する。
希望の党 ウ 今後検討していきたい。
日本維新の会 科学的になされた専門家による判断を尊重する。(選択なし)

5. 関東地方では一昨年、利根川水系の鬼怒川で水害が発生し、今夏は九州北部の豪雨で大きな災害がありました。防災対策を考えた時、今後の河川行政はどうしたらよいと考えますか?

ア これまでの河川行政を進め、八ッ場ダム、スーパー堤防等の早期完成を目指す。
イ 人口減少時代を迎え、財源が限られる中、完了までに長い歳月のかかる大型事業優先のこれまでの河川行政を改め、耐越水堤防による堤防強化工法を採用するなど、費用も工期も少なくて済む、より現実的な治水対策を優先すべきである。
ウ その他

社会民主党 イ
日本共産党 イ
立憲民主党 イ 自然災害が頻発し大規模化しているが、有効性・即効性に問題のある重厚長大な大型ダムやスーパー堤防事業を改め、河道整備や堤防強化、遊水地の設置など総合的な流域治水に転換して、流域住民の命を守る最善の方策をつくるべき。効果と費用を公開して、住民参加で総合的に判断すべき。
希望の党 ウ 公共事業をはじめ歳出削減をはかることが必要であるが、他方で大災害などから国民の生命、財産、主権、を守るための万全の備えを整えることも求められており、これらの諸点も含めて総合的に検討していきたい。
日本維新の会 ウ その他

ご意見
社会民主党
1952年に計画が発表された八ッ場ダムは、「無駄な公共事業の典型」と批判されてきました。東日本大震災からの復興が優先され、しかも財政難の時に、検証が不十分なまま問題の多いダム建設を推進するのは認められません。従来の河川行政に批判的な専門家も加えた、第三者機関で検証作業を抜本的にやり直すべきです。「住民参加の公共事業チェック機構の創設」や中止ルールを盛り込んだ「公共事業基本法」を訴えており、「ダム計画中止後の生活再建支援法案」の制定も考えています。

日本共産党
治水・利水のうえで、不安をあおるだけでなく、地すべりの危険性や自然破壊につながる八ッ場ダムの建設はただちにやめるべきです。