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長野原町長選、星河明彦氏が初当選

 八ッ場ダムのある長野原町では、過去二回の町長選で一人しか立候補者しませんでしたが、今回は三人が立候補。昨日、12年ぶりの町長選が実施され、星河明彦氏が80票差の僅差で初当選しました。

 長野原町ではこの間、町職員(懲戒免職)が備品を公金横領事件(有罪確定)が発生しています。萩原睦男前町長はその責任を取るとして、2024年12月に不出馬を表明しました。これを受けて、2025年12月に星河氏と山口次夫氏が立候補を表明。当初から、複数の町議が支援する星河氏が優勢とみられていましたが、今年3月になって副町長を務めた梶野寛丈氏が立候補表明したことで、熾烈な選挙戦となりました。三つ巴の争いは60年ぶりだったということです。しかし、投票率は前回2014年の町長選より6ポイント近くも低下して70%を切り、過去最低を記録しました。

 近年の長野原町の町長選では、八ッ場ダムによる生活再建事業が大きなテーマとされました。国や関係都県からダム事業の名の下に投下される巨額な資金を活用して、地域の再建・振興を図ることが町全体の目標に設定されてきたのです。しかし、2020年のダム完成後、初めての町長選となった今回は、選挙公約の中に八ッ場ダムの文字はありませんでした。人口減少、地域の衰退はいずれもダム事業を背景としているものの、これらの課題に取り組むには巨大公共事業依存の視点は通用しません。新たな町長の手腕が注目されます。

【関連記事】長野原町の町長選告示、12年ぶりの選挙戦、19日投開票

◆2026年4月20日 上毛新聞 紙面より
ー長野原町長選、星河氏が初当選 「町の未来へ全力」ー

 長野原町長選開票結果
 当1325 星河 明彦 62 元町議 無新①
  1245 梶野 寛丈 51 元副町長 無新
   317 山口 次夫 67 元会社社長 無新

 任期満了に伴う群馬県長野原町長選は19日投開票され、無所属新人で元町議の星河明彦氏(62)=林=が1325票を獲得、初当選を果たした。元副町長の梶野寛丈氏(51)=北軽井沢、元会社社長の山口次夫氏(67)=長野原=との3人の争いを制した。投票率は68.34%(男66.47%、女70.21%)で2014年の前回町長選(73.93%)を5.59ポイント下回り、過去最低だった。

 星河氏は現町政を批判し、「行政運営を正常に戻す」と主張。町議を2期務めた実績をアピールし、インフラ整備などを公約に掲げた。遊説では地区ごとに内容を変え、空飛ぶクルマの実証実験場の誘致などのユニークな政策にも触れた。町議4人からの支援を受け、交流サイト(SNS)による政策発信にも取り組み、支持を拡大した。
 「よかった。本当によかった」。午後8時45分ごろ、星河氏当選の一報が届くと、同町長野原の選挙事務所は歓喜に沸いた。詰めかけた約70人の支持者を前に星河氏は「大先輩から頂いた『目配り、気配りを忘れずに』の言葉を守りながら、町の未来を子供たちに良い形で渡せるよう、全力で取り組んでいく」と抱負を述べた。同10時半過ぎ、町役場で当選証書を受け取った。
 梶野氏は町民対話集会の開催や英語教育の充実、山口氏は子ども食堂の設置を訴えたが及ばなかった。
 同日程で行われ、2人が立候補した町議補選(欠員1)は、無所属元職の浅井直輝氏(59)が当選した。
 当日有権者数は4314人(2162人、女2152人)。期日前投票は1132人だった。

【解説】長野原町長選 対話で丁寧な政策を
 町内3地区からの立候補により60年ぶりの三つどもえの争いとなった長野原町長選は星河明彦氏が初当選を果たした。12年間続いた町政の刷新を掲げる一方で、空飛ぶクルマの実証実験誘致などのユニークな政策も提示、「楽しい夢を描きたい」とのまちづくりの構想は共感を呼んだ。交流サイト(SNS)を使った政策発信も奏功した。
 選挙戦は地区対抗の色がにじんだ。居住地が南北に広がり、1200メートル以上の標高差がある同町ではコミュニティーの成立過程の違いなどを背景に、古くから分断が指摘されている。
 人口減少に直面する町が一つになって前に進むためには、町民の意識を少しずつ変え、政策面でも各地区の課題を吸い上げて平等に判断することが求められる。愛用したフレーズ「町政は町民との声のキャッチボール」の言葉通り、丁寧な説明を心がけてほしい。
 4月にスタートしたばかりの英語教育を特色とする株式会社立小学校の運用、農業・観光振興による地域活性化など、人口減少を食い止めるための課題は山積している。町民の期待に応えるため、政治手腕を発揮してほしい。

 長野原町議補選開票結果(欠員1-2)
 当1890 浅井 直輝 自営業 無元
   859 福嶋 誠  会社役員 無新
 無効198

◆2026年4月14日 上毛新聞社会面より
ー長野原町長選 公開討論会 新人3人政策訴えー

 長野原町長選(14日告示、19日投開票)を前に、立候補予定者による公開討論会が13日、町住宅総合センターで開かれた。出馬を表明しているいずれも無所属新人で、元町議の星河明彦氏(62)=林、元会社社長の山口次夫氏(67)=長野原、元副町長の梶野寛丈(51)=北軽井沢=の3人がそれぞれの政策を訴えた。

 星河氏 楽しい夢描く町政に
 山口氏 経営経験生かし政策
 梶野氏 集会で町民の声聞く

 星河氏は町民との対話を通じて行政を進めると主張。観光振興では「稼ぐ力を付けるためには常に新たな仕掛けが必要」とし、町が目指す将来像を示して、取り組みを分かりやすく説明すべきだと強調した。空飛ぶクルマの実証実験場の誘致、教育現場での上毛かるたのさらなる活用を提案、「現状維持では町は衰退する。楽しい夢を描きながら町政を担いたい」と述べた。

 山口氏は長年の水道工事業の経営経験を踏まえ、「行政は限られた税金を使って政策を実行し、最大の効果を上げるべきだ」とした。上下水道設備や道路などの維持管理に力を入れ、寿命を延ばせば経費を削減できると主張。教育面では「即戦力として活躍できる若者を育てたい」とし、長野原高に建設技術者養成コースを新設することを提案。学習指導も行う子ども食堂の設置も掲げた。

 梶野氏は「町に移住して20年、外から来たからこそ、町の可能性が見える」とし、地元の農業や観光を丁寧に磨く考えを示した。お年寄りが社会とつながれる場所づくり、広域連携を生かした課題解決などを提案。副町長を約3年務め、町の将来について本音で語る少人数の集会を定期的に開くと主張した。「一人でできることはない。町民の意見を聞いて一緒に考えていく」との姿勢を示した。

 討論会は有志団体「長野原町の明るい未来を考える会」(岩井祐典代表)が開き、約200人が耳を傾けた。