人口が減少し、都市用水の需要が減少する中、右肩上がりの水需要を前提としたダム建設が相変わらず続いています。
ダム事業に参画する自治体は事業費を負担し、その結果水道料金が値上がりしますが、料金値上げの際、ダム事業費が原因だという事実はほとんど語られることがありません。
来年運用を開始する利根川水系の南摩ダムは、利根川の支流のそのまた支流の小さな川(南摩川)に建設されました。南摩川の水だけでは貯水量を満たすことができないため、他の複数の河川から水を引く導水管事業と一体の巨大事業です。
南摩ダムの本体工事は昨年8月に終了し、試験湛水が始まりましたが、昨年11月の時点で貯水率はわずか2%と報道されました。(参考記事)
直近の貯水率は国交省関東地方整備局のこちらのページで確認できますが、5月7日現在、なぜか3月12日現在のデータが表示されており、南摩ダムは貯水率0%となっています。
以下の記事では冒頭で、「関東地方で最後の大型ダム建設」と説明されていますが、国土交通省関東地方整備局は今年になって、20年以上前に中止した利根川水系で戸倉ダムと倉渕ダム(いずれも群馬県)の事業を復活させる方針を明らかにしました。ダムは必要だからつくるのではない、と言われます。ダム事業を必要とする経済構造が、次々と新たなダム事業を生み出し、水道事業に負担を強いています。
◆2026年5月6日 茨城新聞
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ー茨城・古河や五霞 事業費負担へ 南摩ダム(栃木・鹿沼)来年度運用開始 関係自治体・団体が協議ー
関東地方で最後の大型ダム建設とされる「南摩(なんま)ダム」(栃木県鹿沼市)の本格運用まで、1年を切った。本年度末に全ての工事が完了し、来年度をめどに水資源管理が始まる計画だ。水道水供給を受ける茨城県古河市や五霞町など関係自治体・団体は今後、安定水利権の取得に伴い総額約2100億円に上る事業費の負担割合について詰めの協議を行う。
南摩ダムは高さ86.5メートル、総貯水容量は5100万立方メートル。ダム本体は2025年8月、計画着手から半世紀余りを経て完成した。現在は送水路の仕上げのほか、本格運用に向けてダムに水を張る試験湛水(たんすい)が進められている。
ダムは南摩川に加え、近隣の黒川や大芦川を導水路で結び、河川間で水を融通し合う独自の機能を持つ。思川や利根川下流域の治水とともに、都市用水の安定供給が期待される。
予定される水道水の供給先は古河市や五霞町のほか、栃木県や同県の鹿沼、小山両市、埼玉県、千葉県の北千葉広域水道事業団の7団体。これまでは古河、五霞、小山の3市町などに暫定取水権が与えられていた。
ただ、運用開始後の取水には安定水利権の取得が必要で、事業費の負担も求められる。ダム開発を手がける水資源機構は「本格運用前には(負担について)協議を終える」としている。
水道水の約7割を思川に頼る古河市は、安定水利権の取得で渇水時の取水制限リスクを低減できるものの、事業費負担で将来的な水道料金への跳ね返りが懸念される。27年4月から給水源の全量を埼玉県に切り替える五霞町も、将来需要を見据えて安定水利権を確保する方針だ。
安定水利権の取得について、古河市の担当者は「暫定水利権より更新期間は延び、権利関係も安定する」と指摘。地盤沈下を招く恐れがある地下水の取水量を抑えられる利点も挙げた。
将来の住民負担に関しては「負担が生じるからと言って、水道料金の値上げありきで考えるのは違う」とした。ただ、人口減や設備老朽化などを背景に適正料金の設定を求められる可能性があることから、「県の水道事業広域化に参加するなどコスト低減に努める」としている。