川辺川ダムの事業主体である国土交通省九州地方整備局は、宿願だった川辺川ダム建設に向けて準備工事に着手することを発表しました。
ダム建設にあたっては、本体工事に取り掛かる前に建設予定地を流れる川を迂回させる必要があります。旧川辺川ダム事業では、すでにこのバイパス工事が完了していたのですが、環境に配慮するという名目で今回、新たな仮排水路工事が行われるとのことです。
ダムに反対する熊本県の市民団体からは、当然のことながら仮排水路工事による河川環境への影響、魚道の効果を疑問視する声が上がっています。
◆2026年6月9日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASV683WHNV68TLVB009M.html
ー川辺川ダム、本体工事に向けた準備に着手 国交省が説明 熊本ー
国土交通省九州地方整備局は、川辺川ダムの本体工事に向けて、川の水を迂回(うかい)させる仮排水路の工事に年度内に着手する。仮排水路はもとのダム計画に沿ってすでにつくられていたものだが、新たに流速を遅くする対策をして、魚道もつくる。6月4日に熊本県庁で開かれた「球磨川流域治水協議会」で説明した。
川辺川ダムの計画は2008年に当時の蒲島郁夫知事が「白紙撤回」を表明し、20年の豪雨災害後に方針を転換。国交省は22年に流水型ダムとして河川整備計画に盛り込み、事業を進めてきた。27年度のダム本体基礎掘削工事開始を予定している。
国交省川辺川ダム砂防事務所によると、今年度は工事用道路の整備を近く始めるほか、本体基礎掘削工事の入札公告を11月に実施したいという。
仮排水路への魚道の設置などは、環境アセス時の熊本県からの意見を踏まえた。勾配が急な上流側に、アユが休みながら遡上(そじょう)できるよう長さ50メートルの魚道を整備する。また、長さ575メートルの仮排水路トンネル全体も、底面に石や礫(れき)が堆積(たいせき)しやすくなるようにして流速を抑制。魚などが行き来しやすくするという。
川辺川ダムをめぐっては、水没予定地になっている五木村が24年に計画を容認。25年11月には球磨川漁協が国交省との漁業補償契約を結んだ。
一方、流域の住民団体などはダムの治水効果を疑問視するなどして反対活動を続けている。今年5月には16団体の連名で工事手続きの中止を求める抗議文を国交省に送った。抗議文では「ダム本体周辺の上流と下流を締め切る工事は清流を壊す」「事業認定に関する公聴会でダム反対の意見が多かったことを真摯(しんし)に受け止めるべきだ」と訴えている。
◆2026年6月8日 日本テレビ
https://news.ntv.co.jp/category/society/kk7d4bf8ab98d149ec9f31f933624135fe
ー熊本豪雨】治水対策で支流の川辺川に着工の流水型ダム 魚道の具体的構造が示されるー
6年前(2020年)の熊本豪雨で甚大な被害が出た球磨川流域の治水対策として、支流の川辺川に2027年度に着工予定の流水型ダムについて、魚道の具体的な構造が示されました。
会議は、国と県、球磨川流域の自治体で構成される協議会が4日に開催し、市町村長などが出席しました。
球磨川支流の川辺川に建設される流水型ダムについて国交省九州地方整備局は、川の水を流す仮排水路トンネル内にアユなどが通る魚道を整備すると報告しました。
トンネルの上流側の入り口に長さおよそ50メートルの魚道を設置し、地元の球磨川漁協が求めていた魚の遡上を促すため傾斜をなだらかにするとしています。
魚道の整備は2026年度中に着手する方針です。
◆2026年6月11日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/articles/2001567
ー川辺川の流水型ダム 国交省「軟弱地盤避けて建設」 市民団体が交渉ー
球磨川支流の川辺川の流水型ダム建設に反対する「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」など市民団体のメンバーが11日、事業主体の国土交通省の担当者と東京都内で面会し、ダム以外の治水対策を求めて交渉した。 市民団体は「ダム建設地周辺の地盤は軟弱で、ダムの寿命が短くなるのではないか」と指摘した。国交省治水課の担当者は、一般的には地質調査をして弱い地盤は避けて造ると説明。「風化した表層は掘削、除外して堅固な地盤を露出させて建設する。適切な維持管理、点検補修で機能を維持できるため、計画寿命は基本的にはない」とした。
市民団体は「コンクリート製のダムではアルカリ成分が河川に流れ、生物に影響があるのではないか」とも質問。国交省側は、施工中は中和処理施設で対策するとしたが、完成後の対策は予定しておらず、モニタリングに応じて保全措置を取る可能性はあると答えた。(川野千尋)