八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

新刊「ダムを造らない社会へー八ッ場ダムの問いかけ」(新泉社)

2013年3月2日

 八ッ場ダム問題に関わってきた人々の小論をまとめた本が刊行されましたので、お伝えします。当会の会員も執筆陣に数多く加わっています。

 「ダムを作らない社会へ -八ッ場ダムの問いかけ」(新泉社のサイト)
http://www.shinsensha.com/detail_html/04shakai/1218-2.html

 紹介記事を転載します。

 ◆2013年2月25日 朝日新聞群馬版
http://www.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20130225100580002.html

 -「ダムを造らない社会へ」21人執筆ー

 図=造成工事前、代替地完成後、ダム完成後のイラストで地滑りの危険性を指摘する中村庄八さんのイラスト

 八ツ場ダム計画(長野原町)を中心に、ダム見直し派の専門家や市民団体メンバーら21人が執筆した単行本が刊行された。「ダムを造らない社会へ」(新泉社、2100円)。治水や利水、安全性といった様々な論点を分かりやすい言葉で伝えようとしている。

 1970年代から水没予定地区を取材してきた、東京都在住の環境ジャーナリスト上野英雄さん(77)が呼びかけた。

 きっかけは、2011年末の民主党政権による「建設再開」表明。長野原町に入った前田武志・国土交通相(当時)を地元住民らは万歳三唱で迎えた。上野さんは「問題の複雑さを改めて知った。どうすればダムのない社会を実現できるかについて、流域住民が理解できるレベルの本が必要だと思った」と言う。

 八ツ場ダムを含む利根川・江戸川河川整備計画の有識者会議委員を務める大熊孝・新潟大教授(河川工学)、関良基・拓殖大准教授(森林政策学)、水問題研究家の嶋津暉之さんといった専門家のほか、「八ツ場あしたの会」「STOP八ツ場ダム・市民ネット」といった市民団体のメンバーらが筆を執った。

 上野さんが「目玉」と推薦するのが、元県立高校地学科教諭で渋川市在住の中村庄八さん(60)が書いた「ダム岩盤と代替地の安全性を問う」。中村さんのイラストや写真をたくさん載せ、視覚的に現地の危険性を訴える狙いだ。中村さんは「現地の岩盤は酸性変質でもろい。国は最悪の事態を想定し、ダムをやめるか、造るとしても十分な安全対策を講じるべきだ」と話す。

 上野さんによると、地元住民の文章も掲載予定だったが、「周囲の理解が得られない」と直前に断念したという。上野さんは「一番大変なのは地元住民。流域の6都県の人たちが、この本で、八ツ場を自分の問題として考えてもらえたらありがたい」と願う。(小林誠一)

 ◆2013年3月2日 東京新聞群馬版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20130302/CK2013030202000167.html

 「ダム造らぬ 社会探る 専門家、運動家らが新刊」

 
河川工学や財政の専門家、市民運動家やジャーナリストらが脱ダムの方策を探る新刊「ダムを造らない社会へ-八ッ場(やんば)ダムの問いかけ」(上野英雄編、新泉社)が出版された。

 県内からは、市民グループ「八ッ場あしたの会」の清澤(渡辺)洋子さん=前橋市=が八ッ場ダム問題の歴史をたどり直し、STOP八ッ場ダム・市民ネットの鈴木郁子さん=高崎市=が水没予定地の住民との交流を描いている。

 地質研究者の中村庄八さん=渋川市=は八ッ場ダム建設予定地や住民が移転した先の代替地の地質を分析し、地滑りの可能性を論じている。

 国土交通省関東地方整備局の有識者会議で、八ッ場ダム反対の立場から意見を述べている大熊孝・新潟大名誉教授と関良基・拓殖大准教授も寄稿している。A5判、二百三十二ページ。二千円。(伊藤弘喜)